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コロナ禍の受験生 食生活で免疫力アップ 岡山県栄養士会・坂本会長に聞く タンパク質 ビタミンA 発酵食品 食物繊維 バランスよく摂取を

/掲載日:2020年11月13日/紙面:山陽新聞朝刊/掲載:15ページ/

 新型コロナウイルスの感染収束が見通せず、インフルエンザとの同時流行も懸念される中、今年も間もなく本格的な受験シーズンを迎える。感染を防いで無事に試験を乗り切るためには、手洗いやうがいとともに、食生活を見直して、ウイルスから体を守る免疫力を高めることも大切だ。岡山県栄養士会の会長を務める坂本八千代くらしき作陽大教授に、家庭で心掛ければよいことを聞いた。 (角南邦彦)

 坂本教授は「栄養バランスのよい食事が大前提」とした上で、三つのポイントを挙げる。



 第一に、丈夫な免疫細胞の材料となるタンパク質。特に育ち盛りで代謝が激しい10代は、肉や魚、大豆製品、乳製品などから、しっかりタンパク質を補い、免疫細胞の減少を防ぐ必要がある。次に緑黄色野菜やレバーから摂取できるビタミンA。のどや鼻の粘膜、皮膚を強化し、ウイルスの侵入を防ぐ働きがある。

 腸内環境を整えることも重要だ。腸内の善玉菌は腸の運動を活発にして、病原菌による感染の予防につながるという。善玉菌を増やすためには、みそなどの発酵食品や食物繊維などを意識的に取ればいいという。

 具体的にはどんな食事がよいのだろうか。まずは朝食、坂本教授が薦めるのは具だくさんのみそ汁。ホウレンソウ、ニンジンなどの野菜類、豆腐や油揚げ、溶き卵を入れてもいい。おわん一杯で多彩な栄養を一度に摂取できる。「みそ汁とおにぎりくらいの朝食が取れるよう、少しだけ余裕を持って起きるようにしよう。『時間がない、起きたばかりで食欲がない』と、食事を抜くのだけはやめましょう」

 日ごとに気温が下がる時期、夕食は温かい鍋や、シチューなどの汁物がいい。「鍋は味付けのバリエーションが豊富で、みそ汁と同様に一度の食事でたくさんの食材を食べることができる。体が温まり、免疫細胞も活性化される」と坂本教授。野菜嫌いの子どもなら、小さく刻んで煮込めば抵抗なく食べられるという。

 反対に、避けた方が良いのは偏った食生活。毎日、頑張っている様子を見ると、子どもが好む料理を増やして応援したくなるかもしれない。しかし、同じようなメニューが続けば栄養が偏り、体調不良や体力低下につながりかねない。夜食の取り過ぎも良質な睡眠の妨げになり、疲労が蓄積するので注意が必要という。

 「全国の感染状況が刻々と変わる中、今年の受験生たちは不安を抱えて過ごしているはず。せめて、家庭の食卓くらいは良い雰囲気になるよう心掛けてあげてほしい」。坂本教授はそう訴える。「本来、食べることは楽しいこと。食事を通してのストレス解消も、免疫力アップには効果的です」

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