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あの頃の私に届けたい場所 ① まちの保健室Soranjiのはじまり

はじめまして。まちの保健室Soranjiです。


岡山市北区で「おとなもこどもも保健室登校できる場所」
まちの保健室Soranjiを運営している、みきです。

まちの保健室Soranjiは、「子育て」をテーマに、こどももおとなも、誰でも安心して利用できる居場所です。

そんなSoranjiは、7月でオープン1周年を迎えます。
この1年で総来室者数は1000人を超え、たくさんの方に利用していただける場所になったことを嬉しく思っています。

でも、実はこの場所が生まれたきっかけは、最初から「誰かのために」という素敵な想いだけではありませんでした。

始まりは、「孤独と怒り」でした。

 

誰にも聞けない。誰にも頼れない。孤独な子育て

私には5歳になる娘がいます。

不妊治療や流産を経験したあとに授かった命だったので、妊娠期間は本当に幸せでした。

でも、出産後の生活がこんなにも大変になるとは、その時の私は知りませんでした。

コロナ禍で、立ち会いや面会も制限される中、帝王切開での出産。

産後、おっぱいやミルクがうまくいかないこと。
赤ちゃんは寝ても、自分はすぐに眠れるわけではないこと。
体中が痛くなること。
むくみで足が象のようになること。

誰も教えてくれなかったことばかりでした。

さらに、コロナ禍で「外に出てはいけない」「人に会ってはいけない」と思い込み、近くに頼れる人も、気軽に相談できる友達もいない私は、どんどん孤独になっていきました。

 

一番近くにいる人が、一番遠く感じた

その寂しさや苦しさをぶつける相手は、主人しかいませんでした。

主人は育休を取ることもなく、これまでと変わらず仕事へ行く毎日。
夜中に起きることもなく、平日はほとんど育児をすることもありませんでした。

私は「どうして私だけ」と怒りを抱え続け、いつしか主人を敵のように思うようになっていました。

限界がきて、暴言を吐いたり、物に当たったりすることもありました。

そんな日々を繰り返し、穏やかな主人もついに限界を迎え、「離婚だ」と言って家を出ていくこともありました。

本当に憎み合うような毎日でした。

そんな状態では、娘のことも心から可愛いと思えない時があり、「産まなければよかった」と思ってしまうことさえありました。

 

「自由になれば変わる」と思っていた

このままではいけない。

そう思った私は、自分の機嫌を取るためにできることを全部やりました。

娘を預けて一人時間を作る。
好きなことをする。
友達と会う。
服を買う。
運動をする。

でも、結果は何も変わりませんでした。

もちろん少し楽にはなる。
でも、根本にあるイライラや苦しさは消えませんでした。

 

やっと止めることができた

そんな日々を過ごしていたある土曜日。

いつものように夫婦喧嘩をした翌日、主人が布団から起きてこなくなりました。

何を聞いても「いらない」と言い、無気力になっていました。

「うつになったのかもしれない」という不安。

そして同時に、「やっと土日で育児をしてもらえると思ったのに」という怒り。

私は「出て行ってください」と言いました。

主人は本当に荷物をまとめて出て行こうとしました。

その姿を見た時、ふと思いました。

本当にこれでいいのか。

そして私は一言だけ伝えました。

「離婚する気はない」

そこから、娘と二人だけの生活が始まりました。

『にげてさがして』が教えてくれたこと

主人が出て行ったあと、私は娘と行った本屋さんで、一冊の本を手に取りました。

ヨシタケシンスケさんの『にげてさがして』

そこに書かれていた言葉を読んだ時、「はっ」とさせられました。

「私は、主人をいじめていたんだ」

本当は気づいていたのに、止められなかった。

全部相手のせいにして、自分は悪くないと思いたかった。

本当に申し訳ないことをしたと思いました。

でも、そのあとに出てきた感情は「安心」でした。

やっと止められた。

私は本の一節を写真に撮り、主人へ送りました。

「私はあなたをいじめていました。本当にごめんなさい。簡単には変われないかもしれない。これからもひどいことをするかもしれない。その時は逃げてください」

数日後、主人は「ごめんなさい」と言って家に戻ってきました。

 

Soranjiの原点へ

この出来事が、私の人生を大きく変えるきっかけになりました。

「誰かを助けたい」と思う前に、私は自分自身が助けてもらいたかった。

あの時の私のように、孤独の中で頑張っている人がいる。

その気持ちが、まちの保健室Soranjiにつながっています。

続きは、また次のお話で。

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酒井 美貴(さかい みき)
まちの保健室Soranji 代表/社会福祉士・元養護教諭
岡山市北区で、こどももおとなも安心して立ち寄り、
相談や休息ができる「まちの保健室Soranji」を運営しています。
転勤族としての暮らし、コロナ禍での出産・子育て。
孤独や不安を抱えた自身の経験から、
「同じように悩むお母さんを一人でも減らしたい」
という想いで、この場所をひらきました。
「ここに来てよかった」と思える場所であり続けられるよう、
一人ひとりの気持ちに寄り添っています。
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