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【プレママのための幸せな出産&育児のススメ⑤】 「『帝王切開』とは?~帝王切開の産前産後の流れについて~」


「出産」という言葉を聞いて、皆さんは何をイメージしますか?
痛い・つらい・不安という声をよく耳にしますが、視点を変えれば、母親の体の中で命を育み、生み出すこと。
「出産」はとても素晴らしいことだと思いませんか!?
出産に向けてベビー用品の準備も必要ですが、それ以上に大切なのが、親になるための心の準備です。
そこで、現役助産師のシャノン香織さんに、“妊娠中からのママの心と身体づくり”の方法やポイントを取材。
今回は、出産の方法のひとつである『帝王切開』をテーマに、帝王切開の産前産後の流れについてお伝えします。


*『帝王切開』とは?

「帝王切開」とは手術で赤ちゃんを出産する方法です。妊娠中または出産の最中にお母さんと赤ちゃんの経過を見ていて、経膣分娩が難しいと判断される場合に帝王切開となります。

「おなかを切るのは不安」「赤ちゃんは無事に産まれるの?」と不安を感じる方もいるかもしれませんが、現在、5人に1人、約20%の妊婦さんが帝王切開で出産しています。その背景には、高齢妊婦の増加や不妊治療による多胎妊娠の増加の他、女性の喫煙率の増加、やせ型傾向、体力の低下、食習慣の変化といったライフスタイルの変化も影響しているといわれています。

帝王切開で出産する人の割合が増えているにもかかわらず、出産施設で行われる母親学級などでは経膣分娩の話がほとんどで、帝王切開に触れることが少なく、全くないというケースもあります。

「経膣分娩をしたい」と願っていても、どんなに妊娠経過が順調でも、分娩の経過中に帝王切開になる可能性は誰にでもあります。だからこそ、どんな方法であっても安心して出産できるように「赤ちゃんと自分自身の命のために必要な、自分が選んだお産」だと思えるように準備してほしいと思っています。


*帝王切開の種類

帝王切開には、「予定帝王切開」と「緊急帝王切開」があります。

【予定帝王切開】
骨盤位(逆子)、前置胎盤(子宮口に胎盤があって赤ちゃんの出口をふさいでいる)、児頭骨盤不均衡(赤ちゃんの頭がお母さんの骨盤に比べて大きい)、多胎妊娠(双子以上の妊娠)など、妊娠の経過によって経膣分娩が難しいと予測される場合

【緊急帝王切開】
胎児機能不全(胎児の心音がゆっくりとなり赤ちゃんに何らかの異常が疑われる)、常位胎盤早期剥離(赤ちゃんが生まれる前に胎盤が剥がれる)など、妊娠・分娩中に何らかの問題が急に生じた場合

予定帝王切開の場合は、あらかじめ手術の日が分かるので、それまでに分からないことを確認したり、心と身体を整えておくことができます。その反面、緊急帝王切開の場合は、状況的に一気に全てが進み、心の準備ができないまま手術を迎えることが多いです。


*予定帝王切開が決まった場合

予定帝王切開であれば、あらかじめ医師と相談して出産日を決めることができます。以下、予定日までに準備しておくと良いことをお伝えします。

●バースプランをつくる
手術中は手術部位が見えないようにしてあるので、赤ちゃんが生まれる瞬間を自分の目で見られるようにお願いしたり、不安が少なく手術に臨めるように手術の様子を実況中継してもらったり、生まれてすぐの赤ちゃんをそばに連れてきてもらったり、触れさせてもらったりなど、自分の希望を出産施設に伝え、できることとできないことを確認しておきましょう。

●家族のスケジュールを調整する
ご主人の出張や上の子の行事と重ならないようにしたり、傷の痛みで思うように動けないこともあるので家族に産後してほしいことのリストやスケジュールを作成し、産後のサポートや生活環境を整えておきましょう。

●手術や入院生活の大体の流れを把握する
どんな時も分からないまま物事が進むのは不安なものです。帝王切開の場合、入院期間は7日間(出産施設や出産経過によって長引くこともあります)。入院してから退院まで、手術前後のスケジュールや痛みのコントロールはどのようにするのかなどをケアしてくれる助産師や看護師と話し、不安な気持ちも聴いてもらうと安心です。

●NICU(新生児集中治療室)を見学する ※赤ちゃんの入院予定がある場合
NICUの見学に行き、医師や看護師とコミュニケーションを取っておきましょう。


*帝王切開で出産したママの心の変化

無事に出産した喜びの反面、周りの人からの心ない言葉で傷ついていたり、「頑張れなかった」「ちゃんと産んであげることができなかった」「帝王切開で出産したことを人に言えない」などと自分の出産体験を受け入れられず、つらい思いをしている人もいます。その気持ちを誰にも話せずにいると、帝王切開で出産したことがつらい体験となり、育児やその後の人生へも影響を与えることがあります。

そんな時はケアしてくれた助産師や看護師と一緒に『出産の振り返り』をしてみましょう。「赤ちゃんと自分自身の命のために頑張ったんだ」と出産体験のとらえ直しができるようになります。

また、帝王切開を経験したママから「帝王切開をしたら次の出産も帝王切開ですか?」という質問をよく受けます。帝王切開後の経膣分娩を希望しても、医療機関では近年、リスクよりも母子の安全を考えて帝王切開を選ぶことが多くなっています。

帝王切開は大切な出産方法のひとつです。
妊娠中に経膣分娩と同じように帝王切開の情報も得て、自分が納得して手術に臨むことができるように、また、出産の経過の中で経膣分娩が緊急の帝王切開に切り替わった時も覚悟を決めることができるように、今から心の準備をしておきましょうね。

 


産前産後サロン 助産院あいのわ 助産師
シャノン香織さん
倉敷市真備町生まれ。2児のママ。倉敷市内の総合病院・個人病院に勤務後、2019年に自宅にて「産前産後サロン 助産院あいのわ」を開業。

『ココロオドルほどのしあわせな出産・しあわせな母乳育児をしよう』をコンセプトに、妊娠中からの心づくり&身体づくりで笑顔で産前産後を過ごせるようお手伝いしています。すべてを包み込んでくれる柔らかな笑顔と語り口調に「話すだけで心スッキリ!」「ゆったり安心する」と産前産後のママから大人気の助産師さんです。

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