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『自学道のすすめ』~自ら学ぶ力の育て方~⑫ お子さんを「幸福な子」にするために

わからないことだらけの初めての子育て。パパ・ママも自ら考えて子育てしていく中で、子どもたちも自分で考えて成長していける-。そんな環境づくりができたら嬉しいですよね。

連載コラム「自学道のすすめ」では、自分で考えて行動する「自学力」の大切さを伝える自学道Labo代表の安永吉光さんに、自ら学ぶ力の育て方ついてシリーズでお伝えいただきます。

 

     

 

みなさんこんにちは、自学道Laboの安永です。

今回は最終回ということで、「お子さんを『幸福な子』にするために」と題してお伝えしたいと思います。

 

◎幸福という果実を実らすためには

植物が果実を実らすためには花を咲かせ、花を咲かせるための養分を作る葉を茂らせなければなりません。そして、葉が落ちないような丈夫な茎や根を伸ばさなければなりません。

また、根を張り芽を伸ばすためには土の養分や水、日当たりといった環境がとても大切です。もちろん、肥料や水は与えすぎてしまうと、根が張らなくなったり、根が腐れたりしてしまいます。

つまり、果実を手にしたいのであれば、環境がまず初めに大切だということです。

巷には「成功」という果実を手に入れるため、さまざまな教育サービスというものが用意されています。そのどれもが「成功」のために最短距離で行くプロセスが用意されています。

しかし、それを利用する人の中には「成功」や「成果」だけに執着しているような人もいるようです。

 

◎どの子も必ず伸びる、そのタイミングは一人ひとり違う

先日、東京渋谷の路上で母子が見ず知らずの人に刺されるという事件がありました。

幸いケガで済んだようですが、なんと犯人は中学3年生の女の子。動機は「母親と弟を殺すための予行演習のため」とのこと。

この子は中学1年から不登校になり、高校受験のため塾には頻繁に通っていたそうです。事件当日も塾に行くために家を出て、塾には行かず犯行に及びました。どうやら塾に行くのも本人の精神的負担になっていたようです。

この子は決して勉強ができなかったわけでも落ちこぼれていたわけでもないようですが、「塾に通い、高校受験できるように」という親心が、本人にとっては親を恨むほどの負担になっていた…。このことは私たち大人が重く受け止めるべき現状です。

 

この事件は、「果実を手にしてほしい」という親心が、いつしか「この子をどうにかしなければならない」と水や肥料を与えすぎ、根を張ることができなくなった植物のようになってしまった究極的な例のではないでしょうか。

ところがこの事件の場合、誰か一人が悪いわけではありません。親が子を思って「どうにかしなければならない」と行動したことが、その子を追い詰めてしまったという悲劇です。

強いて言うなら、ここまで子どもを追い詰めてしまうことになってしまった社会の構造そのものが悪いと言った方がいいのかもしれません。

もっとも、こうなる前に事件を防ぐチャンスはたくさんあったのだと思いますが…。

 

植物には伸びる時期があるように、人間にも伸びる時期があります。

早期からの幼児教育などは、適切な時期に適切なものを与えると素晴らしい能力発揮が起こりますが、この時期を見誤ったり、親が目的を見失って「やらせる」ことに躍起になったりしてしまうと、「学ぶ喜び」を二度と感じられないくらいに無気力になってしまうことがしばしばあります。

 

◎伸びるタイミングを見極めるために

私が経営している能力開発塾・自学道場では「伸びるタイミング」を慎重に見極めています。

その「タイミング」を見極めるためには、「子どもたち自身の自己決定」を尊重することがとても大切です。

なぜなら、「子どもたちには成長のプログラムが最初から備わっている」からです。

子どもたち自身が選び、やりたいと思うこと、それ自体が今の子どもたちに必要なことだからです。

工作や絵を描くことに没頭する子、星座をずっと調べている子、算数ばっかりやっていたい子など、現れかたは千差万別ですが、自学道場の子どもたちは「今の自分に必要なこと」をしっかり選び取って、それぞれの「個性」という花を咲かせ、「幸福」という果実を手に入れるための成長を進めています。これはワガママとは全く違います。

自分の好きなことや選んだことをやり抜く間にも必ず壁がやってきます。

その壁に当たったときも、「自分で選んだことだから」「自分がやりたいことだから」という気持ちは、自分で自分の背中を押してくれる材料なのです。

そしてそれは自分の「幸福」のために必要なことです。

 

「やっても自己責任、やらなくても自己責任」なのが自分の人生です。「人生の主役は自分自身である」は自学道8つの心得の1番目に来る言葉です。

私たち大人はこの視点に立って、我が子がやりたいことを先回りして手助けするのではなく、応援してあげることが大切なのではないでしょうか。

 

◎子育てのゴールって?に立ち返る

さて、ここで皆さんに質問です。

「もし明日あなたがこの世を去ってしまうとしたら、今晩お子さんに何を伝えますか?」

これは、この連載がスタートしたときにもお聞きした質問です。

そして、親として「子どもの幸せ」が「究極の願い」だとお伝えしました。

 

仮に一生懸命勉強させて東大に合格したとしても、人に嫌われるような人柄であればきっと幸せな人生とは呼べないでしょうし、逆に勉強ができなくても多くの人から好かれ、支えてくれる人がたくさんいるようであれば、その子の人生は間違いなく幸せなものになるでしょう。

ところが、日々忙しく子育てをしていく中で、このような「子育てのゴール」を忘れてしまい、目先のことで頭がいっぱいになっているお母さん、お父さんは少なくありません。

このコラムを読んでくださった皆さんには「子育てのゴール」をいつも頭の片隅に置いて、お子さんの「幸福」のために「今何を大切にするべきか」を考えてくださったらうれしいです。

1年間、ご覧いただきましてありがとうございました!

 

やすなが・よしみつ(自学道Labo代表、”成長し続ける親と子の場”自学道場塾長)

塾講師歴20年で延べ1800人以上の生徒を指導し、「自分から学ぶ子」の育て方についてセミナーや教育講演などを開催。プライベートでは一児のパパでもあり、岡山のパパ、ママ、子どもたちからは、親と子どもの間の中立な立場の存在として、相手に寄り添ったアドバイスと穏やかな人柄が支持されています。

 

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