5月に入りましたね。
新学期や新生活から1カ月が過ぎ、子どもさんたちは新しい環境での疲れが出るころかもしれません。
そのような時期だからこそ、コミュニケーションを通して、子どもさんの様子や小さな変化に気付ける関わりを心がけたいですよね。
人は育った家庭環境の影響を強く受けて成長します。
そしてそれはコミュニケーションにおいても同じ。
社会へ出たとき、人間関係・コミュニケーションに抵抗や苦手意識をなるべく持たず人と心地良い関係性を築いていけるよう、親子のコミュニケーションを見つめることはとても重要なことです。
前回、自分のコミュニケーションの癖を振り返るポイントとして、
の2つをお伝えしました。
今回も前回に引き続き、「子どものコミュニケーション能力のベースとなる他者との【信頼】と【安心感】を家庭の中で育むため、私たち親が自分自身を振り返るポイント」をお伝えしたいと思います。
③自分の気持ちや考えを言語化し、「素直に」「正直に」人に伝えることができているか?
人は生まれ育った家庭の中で話を聞いてもらえる環境があって初めて、社会でも安心して自分の気持ちや意見を発信できます。
「私の話はちゃんと聞いてもらえる」
「自分の意見や気持ちを言っても怒られない」
「私は大切にされている存在」
というような家族への【信頼】と【安心感】を感じられていなければ、社会に出たとき他者との距離感やコミュニケーションに不安を覚えることは自然なことでしょう。
もし私たちが子どものころ、家庭の中で自由な感情表現を認められず育ったとします。
その場合、いざ気持ちを表現しようとすると、自分勝手でワガママな自己中心的なことをしているように思え罪悪感を感じるかもしれません。
あるいは、子どものころから言いたいことを言わず、周りの大人の意見に従って生きてきたなら、自分の気持ちさえも分からず、人が良しとすることでないと不安になってしまうケースもあるかもしれません。
これは「私がこうしたいからする」ではなく、「常識的にこうするほうが正しいからする」といった、自分の感性や感覚より「正解」や「正しさ」を軸とした考えによります。
自分が純粋に「何を感じどうしたいか」よりも、置かれた立場や役割から自分が「どうすべきか」「どうしなければならないか」を重んじている方に多く見られます。
そもそも感情には「良い・悪い」「正解・不正解」はありません。
素直に感じた自分の気持ちを大切にしたり考えを表現したりすることは、ワガママでも協調性がない行いでもありません。
感情というのは、自分の内側からの自然な発露。
ネガティブな感情が×でポジティブな感情が○でもなく、日本に四季があるように心にも喜怒哀楽があるものです。
感情を大切にするということは、自分のありのままの存在を認めることを意味します。
素直な気持ちや正直な考えを否定せず、まず自分自身で「そう感じたんだよね」「そう考えているんだよね」と認めることが「自分を愛する」ということ。
それがいわゆる「自己肯定感」が高いといわれる状態です。
ありのままの自分を認めることができるからこそ、他者を疑ったりせず、心から信頼することができるのです。
親が本当の気持ちに蓋をし、自分の気持ちを言語化せず伝えないでいると、子どもの自由な自己表現を認めてあげることができず不快感を感じるようになります。
要するに、親自身が言いたいことを我慢しているから、「子どもが言いたい放題言うことを許せなく感じてしまう」のです。
これではどれだけ「子どもの話をちゃんと聞いてあげたい」と理性的に考えていても、感情がついていかず拒絶してしまいます。
また親が言いたいことを言わず抑圧していると、素直な気持ちに捻じれが生じてしまいます。
ふてる・拗ねる・ひねくれるというような「言葉と態度と気持ちが一致していない状態」になり、本当の思いとは裏腹の行動を取るようになってしまいます。
「言葉と態度と気持ちが一致していない状態」は、
というような感情的な態度となって表れます。
相手を混乱させ不愉快にさせてしまい、自分にとっても望まないこじれた関係性へと向かっていってしまいます。
このような態度というのは、表面上いくら素っ気なくしていたり攻撃的であったとしても、心の奥では「自分のことをちゃんと見てほしい」「分かってほしい」「構ってほしい」「認めてほしい」「気づいてほしい」という本当の思いを隠しています。
本当の思いに蓋をして無視し続けていると、これらの感情のフィルターを通して子どものことを見てしまいます。
その結果、コミュニケーションが親の我欲を満たすものとなってしまい、客観的に子どもの気持ちを察することができず親として必要なサポートもできなくなってしまいます。
このような状態は、親子の間に嫌な空気が流れてお互いの気持ちが理解できず、心がすれ違ってしまっていて双方にとって苦しい状態といえるでしょう。
まず親自身が感情を抑圧していることに気付くこと。
親のプライドや自分の自尊心を守るために虚勢を張るのではなく、親である私たちから心を開いて自分の気持ちや考えを言語化し、「素直に」「正直に」人に伝える勇気を持つことが大切。
自分の感情を認めることで、子どもの感情も受け入れることができるようになります。
またどんな感情であっても親の価値観で「良い・悪い」「正解・不正解」とジャッジせず、子どもさんの素直な感情表現ができる家庭環境を作ること。
親である私たちが「言葉と態度と気持ち」が一致しているかどうかを客観的に振り返ることを心がける必要があります。
親が心を開いて「素直に」「正直に」接することで、子どもは心に深い安心感を感じられます。
そうすることでお互いの心にも余裕が生まれ、感情的な関わりでなく相手を尊重し相手を思いやることのできるコミュニケーションに変えていくことができるのです。
今回も読んでくださり、ありがとうございました。
みなさまが心穏やかに過ごすことができますように☆
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平野桂子(ひらの・けいこ)
岡山市在住。3人(高3、中3、小1)の子どもを育てるママ。自身の子育てと介護職に20年間従事した経験から親子関係の大切さに気づく。子育てに悩んだ経験から、同じように子育てで悩むお母さんの力になるべく、現在は心理セラピストとして子育て相談やインナーチャイルド療法、前世療法などに取り組み、より良い親子関係のためのコミュニケーション講座を開催している。2024年春、子どもさんとお母さんの心が楽に、ありのままの笑顔でいられる場所『みんなの家』をオープン。親子で自然と触れ合う参加型の活動を行っている。
心理セラピスト
(子育てでの気付きやヒントなど書いています)
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