子どもさんのコミュニケーション能力について、誰しも「お友だちとうまくやれているか?」「ちゃんと自分の意見が言えるか?」などと心配になると思います。
私は子どものコミュニケーション能力の基礎は親子のコミュニケーションで培われると考えています。
「社会に出たとき、人間関係やコミュニケーションに抵抗・苦手意識をなるべく持たず、人と心地良い関係性を築いてほしい」
そのために私たち親が親子の関係性を見つめ、「子どもにどう関わっているか」を振り返ることはとても重要です。
前回、そんな振り返りポイント③として「あなたは自分の気持ちや考えを言語化し、『素直に』『正直に』人に伝えることができていますか?」をお伝えしました。
(①②は前々回参照)
今回も前回に引き続き、[コミュニケーション能力のベースとなる他者との【信頼】と【安心感】を家庭の中で育むため、私たち親が自分自身を振り返るポイント]をお伝えしたいと思います。
④コミュニケーションがうまくいかずモヤモヤした気持ちになっているとき、あなたは無意識に【被害者意識】になっていませんか??
コミュニケーションがうまくいっていないとき、言葉のキャッチボールがうまくいかずお互い不愉快な気持ちになっていることが多いと思います。
この不愉快な気持ちの原因は、思いが伝わらない「心のすれ違い」から、相手の言動や態度に「責められた」「否定された」と感じるから。
それは大抵の場合、
「何でいつも私ばかり」
「どうせ私なんか」
というセリフと共に心中に【被害者意識】が潜んでいることを意味します。
人からどう見られるか気にしすぎて、
「常識的に振る舞わなければならない」
「ちゃんとした母親でなければならない」
という枠から外れないよう習慣的に自分を抑圧し言いたいことを我慢しているため、自分がまるで犠牲者/被害者であるかのように錯覚してしまうのです。
他人の評価を気にして「良い人」であろうとすることは、「本当の自分を抑圧して自分自身を大切にしていない」ということ。
その自分自身をないがしろにしている自己否定的な感情が、やがて人への不満や怒りとなって表れ、コミュニケーションがうまくいかなくなるという仕組みなのです。
それは普段から「私の意見は通らない」「自分の気持ちは受け止めてもらえない」という思いを抱えているからこそ生まれる感覚。
もし「いつも私ばかり」「どうせ私なんか」という言葉が浮かぶことがあるなら、無自覚でも“被害者意識のフィルター”を通して子どもさんとコミュニケーションしているサイン。
子どもさんの自由な感情表現に対して冷静に耳を傾けることができず、子どもの気持ちを抑えてしまうようになるでしょう。
例えば、子どもがこちらの意見を聞かず反抗してきたとします。
それは子どもからすれば、「私の話をちゃんと聞いてよ!」と気持ちの表現が『反抗』という形になって表れているだけ。
なのにこの被害者意識のフィルターを通して接していると、子どもの気持ちを理解できないどころか「攻撃された」「責められた」という感覚になってしまいます。
その結果、子どもを責めるようなコミュニケーションになっていってしまうでしょう。
親からすると責めているつもりなんてないかもしれせんが、【被害者意識】の感覚で子どもの態度を否定的に捉えているので、子どもからしてみれば「私の話を聞いてくれない」「言うことをわかってくれない」と感じてしまいます。
それは「責められている/否定されている」という感覚と同じなので、コミュニケーションはさらに悪化し、より一層“親子の心のパイプ”はうまく通わなくなっていきます。
被害者意識では「自分は悪くない/相手が悪い」という思考に陥ってしまいます。
しかし本当は自分のことを責めてないがしろにしているから、それを隠すかのように“相手責め”に転じているにすぎないのです。
そして被害者・加害者意識というのは表裏一体です。
「自分は被害者だ」と思い込んでいたとしても、相手との心理的な上下関係の違いで「自分自身が相手を支配コントロールする加害者側になり得る」ことはよくあります。
この「心理的な上下関係」の例を挙げると、特に親子であれば親の方が強い立場にあるので、ほとんどの場合で親が子を追い込んでいるパターンとなってしまいます。
ですから子どもさんとコミュニケーションがうまくいっていない場合、「自分は今、被害者意識に囚われて子どもを責めていないか?」と自分自身を客観的に観察することが大切なポイントとなります。
そして【被害者意識】にならないためには、自分が素直に感じた感情を否定せず理解し、「自分の本音や相手に望むことを明確にする」ことも重要です。
「自分の気持ちを理解する」ことは「自分自身に共感する」ということ。
感情を冷静に処理し、今まで子どもへぶつけてしまっていた気持ちや過度な期待を自己完結できます。
本音や相手に望むことを言語化して子どもにちゃんと伝えられていると、それは子どもに対して「真摯に向き合おうとしている姿勢」として伝わります。
子どもとのコミュニケーションは特別なものではなく、当たり前の日常生活の一部。
だからこそ親子の心のパイプが詰まってしまわないよう、私たち親が「被害者意識」になっていないか振り返ることがとても大切です。
自分を振り返り気づくことで、行動を変えることができます。
そしてその変化が、親子の関係を少しずつ、でも確実に心が通い合ったものへと変えていきます。
今回も読んでくださり、ありがとうございました。
〜お母さんの心が楽に〜
〜子どもさんがありのままの笑顔でいられますように〜
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平野桂子(ひらの・けいこ)
岡山市在住。3人(高3、中3、小1)の子どもを育てるママ。自身の子育てと介護職に20年間従事した経験から親子関係の大切さに気づく。子育てに悩んだ経験から、同じように子育てで悩むお母さんの力になるべく、現在は心理セラピストとして子育て相談やインナーチャイルド療法、前世療法などに取り組み、より良い親子関係のためのコミュニケーション講座を開催している。2024年春、子どもさんとお母さんの心が楽に、ありのままの笑顔でいられる場所『みんなの家』をオープン。親子で自然と触れ合う参加型の活動を行っている。
心理セラピスト(子育てでの気付きやヒントなど書いています)
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