人の悩みの大半は「人間関係」であると言われています。
誰しも「人と良い関係を築いていきたい」と感じている。
けれど多くの方が、誰も自分のことを理解してくれない感覚になり、心が苦しくなってしまっているのではないでしょうか?
今回は、このように感じる「『劣等感』の心のメカニズム」についてお話ししたいと思います。

このように感じることはありませんか?

人との関わりの中、言動や態度によって不愉快な気持ちになり相手を非難したくなったり、あるいは自分を責めてしまうことがあります。
そう感じるのは「相手が失礼だから/酷いやつだから」でも、「あなたの心が狭いから/性格が悪いから/ダメ人間だから」でもありません。
このように感じるのは、相手の態度や言動によって「あなたの中の『劣等感』が疼いた反応」に過ぎないのです。
そして『劣等感』と『優越感』は表裏一体に存在しています。
例えば「私はダメな人間だ」という劣等感が強ければ、弱いダメな自分を隠すため「自分を大きく見せたい/人より勝りたい/バカにされたくない」という相手への攻撃性や優越感も同じように強く感じているということです。
「良い/優しい/常識的な人」でありたいと思っている方からすれば、自分の中の「劣等感」も「他者への攻撃性」「優越感」も認めたくないと感じるかもしれません。
しかし、劣等感が強ければ優越感に浸りたくなるのは当たり前のこと。
「人より勝りたい/バカにされたくない」という願望は、恥ずべきものではなくとても自然な欲求です。
ただ自分の中の「劣等感」と「優越感」を自覚していなければ人間関係を拗らせることになってしまいます。
なぜ人は劣等感を抱くのでしょうか?

あなたは子どもの頃、
このような経験をされたかもしれません。
あるいは、言う通りにすると親が喜んでくれ、自分の存在を認められたような感覚を感じたことがあったかもしれません。
これは誰かの期待に応えるため/自分という存在を守るため、他者の正解に合わせて「自分らしさ」を抑圧して生きてきたと言えます。
要するに「他者から受け入れてもらえない自分は存在してはいけない」と自分自身を否定してきたということ。
このような経験が積み重なると、“外側”に正解があると思い込んで「自分らしさ」を抑圧し、偽った自分へと成長していきます。
否定されることを怖れ、自分の存在を認めてもらうために必要な防衛法だったかもしれません。
しかし大人になった今、息苦しさを感じる原因はここにあるのです。
「正解/不正解」「成功/失敗」「知っている/知らない」「できる/できない」「器用/不器用」「得意/苦手」「早い/遅い」「大きい/小さい」「太い/細い」「高い/低い」。
これらは、特徴の違いや状況の結果として客観的事実があるだけで、それが人より劣っているということにはなりません。
見方を変えれば、反転することもよくあります。
「自分らしさ」を抑圧した結果、「私は劣っている」「ダメな人間だ」という「劣等感のフィルター」を通して現実を見てしまっている。
そのため客観的事実に目を向けられず、自分自身の存在そのものを否定してしまっているのです。
そんな劣等感とどう付き合えばいいのでしょうか?

他者との関わりの中で抱く不愉快な感情は、あくまでも表面的な感情です。
しかしその奥には、
この抑圧してきた2点を無意識に握りしめています。
よく耳にするのが「自分褒め」。
「私は大丈夫」「よく頑張ってる」とポジティブに自分を褒めることも確かに大切です。
しかし劣等感を根っこから手放すには、これまで抑圧してきた『ネガティブな自分の存在に気づくこと』が最も効果的です。

繰り返しになりますが、ネガティブな自分という「痛み」に蓋をしていると、「劣等感」が強化され、人から攻撃されないよう、痛みを隠すための防衛的な生き方になってしまいます。
「自分の痛みを受け入れる」ことは、あなたが今まで蓋をしてきた心中のネガティブな自己イメージ像を見つけ、それらに紐付く感情を手放していくこと。
今まではネガティブな感情に振り回されてきたかもしれません。
しかし「あなたの揺れ動く感情の正体は『劣等感』が原因で、『自分らしさの抑圧』である」-。
そう自己理解を深めていくことで、感情に飲み込まれることなく「このラインまでは合わせられるけど、これ以上は苦痛に感じる」と自分の意思で相手との距離感を選択し適切な境界線を見つけることができます。

あなたが素直な感情を表現したとしても、または考えを主張したとしても、それは相手を攻撃している、あるいは誰かを傷つけたり人を不愉快にさせることとは違います。
たとえそれがネガティブな感情であったり、相手の意見と反することであってもです。
過去の経験から「人に嫌われるからしてはいけないこと」と決め込んできただけに過ぎません。
たとえ人から何かしらの評価を受けたとしても、それはその人の主観的見方であり、あなたの存在価値そのものを証明するものではありません。
人からの反応や評価に不安になってしまうなら、それは自分ではない外側へ意識を向け過ぎているということ。
そのような時こそ、「私は本当は何を感じているのか?」「どんな気持ちなのか?」と自分(=内側)に視点を戻していきましょう。

今まで外側である「他者からの評価」が正解と思い込み、内側=「自分らしさ」を抑圧して生きてきました。
それが劣等感の原因です。
ですから、外側でなくあなたの内側(感情・感覚)に意識を向けてみましょう。
あなたの心が穏やかになれる時間を作ってみてください。
五感を心地良く満たすものを取り入れ、
「どんな物に囲まれていたいか?」
「どんな人と一緒に過ごしたいか?」
を感じてみてください。
そうやって自分自身に向き合い、心を満たすことで、劣等感が静まっていくのを感じるでしょう。

あなたが好きと感じたら「好き」と言ってよいし、嫌いと感じたら「嫌い」と言ってよいのです。
「嫌いと感じること/言葉にすること」は、誰かを傷つけることではなく罪悪感を感じる必要もありません。
またあなたの中の「好き」を過小評価してジャッジしないであげてください。
「あの人より詳しく知らないから」「少し気になるだけだから」と自信の無さに目を向けるのはやめましょう。
「ちょっと好きかも/気になるかも」「なんか嫌だな」といった、あなたが素直に感じる感情=「好き/嫌い」を素直に認める勇気を持っていきましょう。

「劣等感」はあってはならないものではありません。
誰しも心の中にある感覚ですが、それが今あなたの息苦しさになっているなら手放していくタイミングなのかもしれません。
「自分らしさ」はあなただけのもの。
本当はとても素晴らしい輝きなのです。
少しずつご自身の感覚を大切にして、「自信」を取り戻していきましょう。
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平野桂子(ひらの・けいこ)
岡山市在住。3人(高3、中3、小1)の子どもを育てるママ。自身の子育てと介護職に20年間従事した経験から親子関係の大切さに気づく。子育てに悩んだ経験から、同じように子育てで悩むお母さんの力になるべく、現在は心理セラピストとして子育て相談やインナーチャイルド療法、前世療法などに取り組み、より良い親子関係のためのコミュニケーション講座を開催している。2024年春、子どもさんとお母さんの心が楽に、ありのままの笑顔でいられる場所『みんなの家』をオープン。親子で自然と触れ合う参加型の活動を行っている。
心理セラピスト(子育てでの気付きやヒントなど書いています)
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