昔は家というものは、親から子へ、そして孫へと受け継がれていくのが当たり前だった。
けれど今は少し違う。
「相続するもの」というよりも、「それぞれが自分の家を持つ」という時代になってきている。
その結果、親世代の家が空き家として残るケースも増えてきた。
「この家、どうしようか」という相談も実際に多い。
そんな中で出てくるのが、今回のテーマでもある
リフォームやリノベーションの現場では、
「こんな田舎の家、子どもは絶対に住まないと思う」
「興味もないから、とりあえず親の好きなようにしてほしい」
そんな前提で話が進むことも少なくない。
ところが、実際に工事が終わってみると状況が変わる。
それまで全く興味がなかった子どもたちが、その家を見て言い出す。
「え、これ誰が住むの?」
「私が住みたい」
「いやいや、私が住むんだけど」
まさかの“取り合い”になることすらある。
興味がなかったはずの家が、いつの間にか「欲しい家」に変わっている。
では、その違いは何か。
それは単純に言えば、魅力があるかどうかだ。
親世代が住みやすいだけの家ではなく、
子どもや孫が見ても「いいな」と思えるかどうか。
例えば、二人暮らしを前提にしたコンパクトな設計でありながら、
子どもが帰ってきたときにも自然に過ごせるような柔らかさがある家。
そういう家は、結果的に「誰かが住みたい家」になっていく。
逆に、どれだけお金をかけてリフォームしても、
行き当たりばったりで作られた家は、あまり響かないこともある。
ここで少し視点を変えてみる。
もしもその家が、ただの“親の家”ではなく、
“子どもが欲しがる家”だったらどうだろうか。
相続のときに「どうしよう」ではなく、
「どっちが住む?」になる。
空き家になるのではなく、取り合いになる。
それは単なる不動産の話ではなく、
家そのものが“価値を持ち続けている状態”とも言える。
家は今だけのものではなく、
20年後、30年後、さらにその先の世代にも関わってくる。
そのときに「いい家だね」と言ってもらえるかどうか。
そのために必要なのは、
「ちゃんと使い続けられる設計」と「余白」だと思う。
将来、孫が「ばあちゃんち、いいな」と言える家。
それは少し大げさに聞こえるかもしれないけれど、
実際にそういう家は、ちゃんと人が集まってくる。
リノベーションの現場でも、
「子どもが帰ってくるようになった」
「孫が毎年来るようになった」
という話は珍しくない。
家はただ残すものではなく「選ばれるもの」にもなり得る。
相続や空き家の問題も、突き詰めればそこに行き着く。
「誰もいらない家」にするのか、
「子供たちが欲しくなる家」にするのか。
その違いは、思っている以上に大きい。
これからの時代の家づくりは、
“自分たちのため”だけではなく、
“次の世代がどう感じるか”という視点も含めて考える必要があるのかもしれない。
その結果、自分たちもより住みやすくなり素敵な生活を送ることができるようになる。
もし身近に実家のリフォームや建て替えの話が出たとき、
こんな視点を一度だけ思い出してほしい。
「これ、子どもが欲しくなるかな?」
それだけで、家の見え方は少し変わるはずだ。
そしてそれが、令和の家づくりにおける
ひとつのヒントになるのかもしれない。
家づくりへの考え方や裏話は、YouTube「こばしチャンネル」でも発信しています。
現場の本音も多めなので、気になる方はぜひ覗いてみてください。
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