/掲載日:2020年06月21日/紙面:山陽新聞朝刊/掲載:1ページ/
胎児にダウン症などの障害があるかどうかを調べる新出生前診断を巡り、日本産科婦人科学会は再び実施施設の拡大に向けて進み始めた。だが、診断に当たって十分な情報が提供されているかを懸念する声も根強い。厚生労働省の有識者会議が学会の動きをどう判断するか注目され、診断を受ける当事者たちも加わって議論を尽くす必要がある。
学会は指針で診断を受けられる女性を基本的に35歳以上と限定。3種類の染色体異常について、カウンセリング体制が整った大学病院などの認定施設でのみ認めてきた。
認定施設が少なく時間もかかるため、認定外で検査を行うクリニックなどが急増。3種類以外の染色体異常の診断、性別判定をうたう施設すら出てきた。
こうした混乱の中で、診断の仕組みや障害者福祉、子育て支援の在り方についてといった説明手続きは守られるのか不安も残る。子どもを持とうとする女性、障害のある子の育児経験がある人、診断を受けて妊娠を継続しなかった人といった当事者の意見を制度に反映させるべきだ。(共同=服部慎也)