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高梁のエアコン普通教室 ルポ 快適室温 集中力高まる 熱中症予防と感染防止 換気配慮し効率活用

/掲載日:2020年06月26日/紙面:山陽新聞朝刊/掲載:19ページ/

 

 この夏、岡山県の公立小中学校を巡るグッドニュースが一つある。玉野市の一部を除き、全ての普通教室にエアコンがついたのだ。熱中症予防と快適な学習環境の味方になるはずだが、今夏は新型コロナウイルス感染防止のため、換気にも気を配る必要がある。どんな授業風景になるのか。県内でも早くエアコンを整備した高梁市を訪ね、見学させてもらった。 (岩崎充宏)

 時に国内最高気温を記録することもある高梁市。訪ねた6月16日も午前中から晴れ、最高気温は33度が予想されていた。

 市立高梁小(同市落合町近似)は全校児童341人。各学年2クラスずつの中規模校だ。「2014年に普通教室全てにエアコンが設置されたんです」と教えてくれたのは岡本恵子校長。同小は高梁川沿いにあり、この日はまだ風の爽やかさも感じられたが「真夏の暑さは以前とは違う。熱中症は気をつければ防げるはずで、エアコンは助かりますよね」とうなずく。

 


高梁小6年B組の授業風景。快適な教育環境と換気を両立させるため、エアコン使用時も上側の窓は開けたままだ

 

 「これからつけるよ」。午前11時半、4時間目の始まりに6年B組の担任、瀧口絵未教諭が声を掛け、エアコンのスイッチを入れた。室内の温湿度計はこの時点で27・2度、70%。「28度以下、80%以下」という文部科学省の学校環境衛生基準を超えていなかったが、外気温はぐんぐん上がっている最中。マスクをした児童の汗ばんだ表情も見ての使用判断だった。

 すると、窓際の児童が指示されることもなく窓を閉めた。ただ、上段の窓は教室の左右二つずつを開けたまま。昨年まではエアコン使用時は閉め切ったそうだが「今年は感染予防として、換気効率が上がるように教室の対角線を開けたままにします」と岡本校長が解説してくれた。

 授業は国語。情報の伝え方という論理的思考が大切な内容だったが、児童たちは涼しい顔で先生の問いに答えていく。時間の後半に温湿度計を見ると26・2度、58%に抑えられていた。エアコンの設定は27度。暑さが本格化すると28度設定では基準以下に抑えるのは難しいそうだ。以前からある扇風機も使い、冷気を効率よく循環させていた。

 「礼」。授業が終わると、エアコンはオフ。やはり先生に言われることもなく、給食当番以外の児童たちで窓と戸を全て開け放つ。すぐに外の熱気がまとわりついてきた。

 授業を終えた仲岡凰太君(11)と川月崇弘君(11)は「暑くなると汗が出て、頭がポワーンとなることがある。4時間目は涼しくて、集中して勉強できた」とにっこり。続けて「授業中は対角線に窓を開ける。休み時間は暑くなるけど、ウイルスを防げるようにしっかり換気しないと」と表情を引き締めた。


授業が終わると、先生に言われるまでもなく、児童たちは窓を全開にして換気を始めた

 

 夏本番を迎えるのはまだこれから。その時、窓を開けた教室で冷房がどう効くか。逆に、換気は十分できるか。一方で電気代などの経費増も考えられる。試行錯誤が予想される中、高梁市教委の小田幸伸教育長は「まずは児童生徒の健康が第一」とした上で「熱中症とウイルスへの対策を両立させながら、少しでも良い環境でしっかり勉強できるようにしたい」と話す。

 岡山、倉敷市の小学校など今夏が初めてのエアコン使用になる学校は多い。その上、学校の立地や校舎の向き、何階のどこか…など、教室ごとに暑さや換気の条件は異なる。「どう対応するかを子どもたちが主体的に考えることで健康・環境教育につながる」(岡山大大学院の伊藤武彦教授)という専門家の提言もある。せっかくのエアコンをうまく活用し、良い夏を過ごしてほしい。

 


教室にあるエアコンのスイッチ。高梁小は温度設定も教室ごとにできる

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