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記者が行く あなたの疑問にこたえます コロナPCR検査対象 どう決まる? 症状、行動歴基に医師が判断

/掲載日:2020年08月02日/紙面:山陽新聞朝刊/掲載:27ページ/

 新型コロナウイルスの感染拡大が収まりません。県内でもクラスター(感染者集団)が続発し、ちょっとした体調の変化で感染の不安を感じる人も少なくないでしょう。先日、発熱が続いたため感染を調べるPCR検査を希望しましたが、すぐには受けられませんでした。検査の対象者はどうやって決まり、どんな流れで進んでいくのでしょうか。

 <岡山市、女性(53)>

 7月19日から数日間、37・5度前後の熱が続いた投稿者の女性。普段ならさほど気にならないが、発熱したその日、岡山市で県内初のクラスターが確認されたとのニュースが流れたこともあって、強い不安を感じた。

 女性によると、すぐさま同市保健所の「新型コロナウイルス受診相談センター」に電話をかけ、PCR検査を受けたいと伝えたものの、「しばらく自宅待機を」とセンター。熱が下がらず、2日後に再びセンターに電話したが、今度はかかりつけ医に相談するように言われた。かかりつけ医に電話し、検査を受けられるようセンターへ連絡してもらったが、センターからは結局、「検査の必要はない」との判断が示されたという。

 「行政が検査体制の拡充を進めていると聞いていただけに、センターの判断には驚いた。よほど重篤でないとPCR検査は受けられないのか」と女性。

 では、3月に公的医療保険が適用されたPCR検査の仕組みはどうなっているのだろうか。

 県などによると、基本的な流れはこうだ。息苦しさや高熱といった症状がある人をはじめ、症状が軽くても重症化しやすい高齢者や基礎疾患がある人、発熱やせきなどの風邪の症状が4日以上続く人はまず、センターに電話で相談する。

 センターは、流行地域に訪問したかどうかや感染者との接触の可能性といった行動歴を聞き取り、感染が疑われる場合は専門外来を紹介、最終的に同外来の医師が必要と判断すれば検査を受けることになる。センターで必要なしと判断されても、かかりつけ医を介してセンターに再検討してもらい、検査を受けられることもある。投稿者の女性は流行地域への訪問歴がなかったことなどから該当しなかったとみられる。

 県内ではこの他にもPCR検査を受けられるルートがある。県が5月以降、岡山、倉敷、津山市に開設した「屋外検体採取センター」だ。かかりつけ医の判断で直接、採取センターにつないで検査を受ける。さらに岡山市は地域の診療所で検体を採取する体制を独自に整えている。

 県健康推進課は「現状は誰でもPCR検査を受けられる状態ではないが、より多くの人が検査を受けやすい環境の整備を進めており、安心してほしい」とする。

 ただ、検査が保険適用となるのは医師が必要と判断したケースのみ。企業が無症状の従業員の感染状況を調べたり、出張で訪問先から陰性の証明を求められたりする場合は民間の医療機関に直接依頼することとなり、全額の負担が必要だ。

 (三宅信行)

新型コロナウイルス PCR検査の主な流れ(図)

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