/掲載日:2020年09月08日/紙面:山陽新聞朝刊/掲載:24ページ/
岡山労働局は、2019年度に受け付けた民事上のトラブルに当たる「個別労働紛争」の相談件数をまとめた。パワハラなどの「いじめ・嫌がらせ」は前年度比237件増の1554件と16年連続の増加で、同局は「不当な取り扱いに対する労働者の意識が高まっている」としている。
全体の相談件数は、前年度比612件増の4194件で過去最多。内容別では、いじめ・嫌がらせが最も多く、件数自体も09年度(491件)の3・2倍となっている。
他の相談内容は、退職したくても辞めさせてもらえないといった「自己都合退職」610件(前年度比57件増)、「解雇」459件(21件増)、「労働条件引き下げ」372件(15件増)―など。
これらの紛争解決のため、岡山労働局長による助言・指導を申し出たのは111件(37件増)。専門家が紛争当事者の意見調整を担うあっせんの申請は50件(16件増)だった。
個別労働紛争とは別に、妊娠・出産や育児休業などを理由とした不利益な取り扱いに関する相談は152件(14件増)と2年ぶりに増加。内訳は「退職勧奨・強要」26件、「減給など」24件、「雇い止め」18件などだった。100件を上回るのは5年連続で、高止まりしている。
6月施行の女性活躍・ハラスメント規制法は大企業にパワハラ防止対策を義務付けた。中小企業は22年4月から適用される。罰則を伴う禁止規定はないが、厚生労働大臣は違反企業に勧告ができ、従わない場合は企業名を公表する。(河内慎太郎)