/掲載日:2021年05月14日/紙面:山陽新聞朝刊/掲載:15ページ/
みなさんに質問です。大地震が起こりましたが、安全な場所にいてけがもありませんでした。その時、最初に困るものは何でしょう?
「水」「食料」と答える方は多いですが、緊急で困るものの一つにトイレがあります。1人が1日平均5回ほどトイレに行き、過去に起きた災害の調査では3割の方が3時間以内にトイレに行きたくなっていました。排せつは我慢できませんし、我慢するのは体にも良くありません。
トイレの水が流れなくなっても、ためておいたお風呂の水で流せばいいと思っていませんか? それは古い常識です。国土交通省が分かりやすい漫画を作り、ホームページで公開していますので、親子で読んでみてください。
地震の際、トイレや排水管、公共の下水道の損傷が過去にも起こっています。その状態でトイレに水を流し込むと、汚水があふれるトラブルが起きる可能性があることがリアルに感じられます。
大地震の後は、排水管が壊れたり、断水などで水が流せなくなったりする場合があるため、使用可能の確認ができるまで、まず災害用のトイレ(携帯トイレなど)を便器に設置することが今の常識です。家族の人数×1日の回数×最低1週間分の備蓄です。使用後は、汚物を家庭で保管するようになるので臭い対策も重要です。
携帯トイレをいくつか購入して性能を試します。コーヒーを入れて凝固剤で固めたり、みそやカレー粉と粘土で実験したりすると良いでしょう。ポリ塩化ビニリデンを使用しているラップは、ガスバリアー性が高いので臭い対策にも使えます。
この話題と実験は、子どもが喜ぶ“鉄板ネタ”なので、防災に興味を持ってもらうのにぴったりなのです。
(あんどうりす・アウトドア防災ガイド)
=次回は28日掲載予定