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米の花を食卓へ 『糀』がつなぐ食文化と彩りある命

日本の国花といえば「桜」、国鳥といえば「キジ」ですが、日本の国菌(こっきん)なるものがあることを皆さんご存知ですか?
その国菌に認定されているのが、古来より先人たちが発酵食を作るために育んできた「糀/麹(こうじ)」です。
糀は、ユネスコ無形文化遺産にも登録されている「和食」に欠かせない調味料である味噌(みそ)や醤油(しょうゆ)のうま味の決め手。
そこで、LaLa編集部では、おいしく、身近なものとして糀を紹介している
「糀の食卓『さしすせそ』」主宰の逸見まりさん=総社市在住=を取材。
偉大な裏方として和食をリードする糀の秘めたる魅力や可能性などを聞きました。
知れば知るほど、糀のとりこになってしまうかもしれませんよ♪

*糀と菌への開眼

逸見まりさん(以下、まりさん)は姉の乳がんをきっかけに暮らし慣れた京都を離れ、2年前に総社市に移住。姉の仕事を手伝うとともに食生活の見直しをサポートする中、周囲から「味噌」というキーワードを何度も耳にしたとのこと。「味噌は何からできているのか?」と改めて自身に問い掛けた時、すぐに浮かんできたのが「糀」。これを機にまりさんは意識して糀を料理に取り入れるようになり、こうした食習慣の改善によって姉の体調には驚くほど素晴らしい変化があったそうです。「もともと人間には病を克服し、生き抜くだけの力が備わっている。そして『食』は、身体を危機から回復させられる力を秘めている」と気付かされることに。姉の大病を食からアプローチした貴重な経験と結果は、まりさんを糀や発酵の深い学びと実践の世界にいざない、「食養と食文化を伝えていきたい」という思いを明確にしました。

「糀/麹」とは、米、麦、大豆などを蒸して発酵に有効なコウジ菌などを付着させ、微生物を繁殖させたもの。コウジには2つの漢字があり、「麹」は中国からもたらされ、「糀」は推定で江戸時代あたりから使われている国字で、まるで米に花が咲くようにコウジ菌が生える様子を漢字で表現しているのだとか。普段何気なく使っている漢字にも、日本の美意識と繊細さが現れていると知ると、とても嬉しくなりますよね♪

*目の前にある自然と共に生きる知恵

まりさんは季節の手仕事と趣味の山登りを欠かしません。梅や味噌作りはもちろんのこと、例えば、春にはヨモギやスギナを摘み、乳酸菌や茶葉を作ります。野に生きる植物はただの雑草ではなく、時に人の体を養ってくれる貴重な薬草であり、食材になるそうです。また、山に入れば、山頂を目指すだけでなく、山に生息する植物や土を観察。汚染にさらされることが少ない山の土を試食するのも、実は楽しみの1つなのだとか。「豊かな植物を育む森の土は微生物の活動が活発で、ミネラル、カルシウムも豊富。万が一、食糧難が起き、食料が手に入らなくても、土が栄養補給してくれますよ」と目からうろこのアドバイス。野草の特性を知れば、生えているその土の状態も予想がつくそうです。

「名もなき草木とただの土」という当たり前の存在が、実は私たちの生命を維持をする役割を果たしてくれるとは驚き!!!サバイバル術は特別に訓練されるものではなく、当たり前の風景や暮らしの中にヒントがたくさんあるものなんですね。これならば、子どもたちと楽しんで、自然の中でサバイバル術を磨いていけそうな気がします♪

*糀の恵みを発信!「糀の食卓『さしすせそ』」

まりさんが主宰する「糀の食卓 さしすせそ」は、総社市東部、のどかな風景が広がる古民家で営まれています。季節のランチ(デザート付きで税込1,500円、予約制)の料理はすべて調味料に糀を使用。取材当日のランチでは塩糀、豆乳塩糀、醤油糀、納豆糀、麦塩糀などが自家製調味料として個性豊かに料理を引き立てていました。食前にいただいた、糀を水で漬け込んだ「糀水」から、締めの「糀豆乳ヨーグルト青梅酵素シロップ」までとてもおいしく、さすがの糀使いに身体も喜び、元気に。そして「家でもぜひ糀を取り入れたい!」と思わされます。上がったモチベーションで糀発幸料理教室(詳細は下記に掲載)に参加するのもおすすめです。

店名に「食卓」「さしすせそ」を付けた理由について、まりさんは「『食卓』は家族にとってとても大切な場所。現代は習い事や仕事に追われて家族で食卓を囲むことが少なくなってきているが、四季の野菜で作った手料理を囲み、楽しくリラックスした食事の時間を過ごすことはとても大切」と強調。そして「さしすせそ」には、砂糖、塩、酢、醤油、味噌が家庭でも作れるようになれば良いなという願いを込めているそうです。手料理をモグモグ食べる口が、語らいの口へと変わっていき、そんな中で自然に生まれる会話から子どもたちの心の内を“フッ”と聴くこともできる…。アフターコロナで「これからの暮らし方」が問われる中、本来ママたちが最も大切にしたいことが店名の願いと重なります。ママの手料理を食べながら団らんのひとときを過ごすという、その当たり前が、実はとても幸せなのです。

*子どもに伝える先人たちの発酵文化

発酵の知恵には先人たちが“たまたま”発見したものも多くあるそうで、その“たまたま”と、試行錯誤して生み出した知恵は私たちを元気にするアイデアにあふれています。まりさんは今後、保育園や小学校などの教育機関でも味噌作りを通して糀や味噌といった発酵食のおいしさや魅力、その背景にまつわる文化について子どもたちに伝えたいと考えています。

糀の感触、味噌玉を投げ入れる時の清々しさ、発酵過程で生じる糀と大豆の変容、香りと色の変化など、味噌作りのプロセスは五感を刺激します。そして、出来上がったオリジナル味噌でいただく味噌汁は感動そのもの!!!「自分で味噌が作れる」という達成感は大きな自信の根っこを育むことにもなるでしょう。ぜひ子どもたちに岡山県産の糀と大豆で味噌作りを体験させてあげたいですよね♪


  

■糀の食卓『さしすせそ』
主宰:逸見まり
総社市奥坂344
TEL 080-3116-1586
営業日時:月・火・水・木曜日、11:00~15:00 (ラストオーダー14:00)
【Facebook】
インスタ:@sa_si_su_se_so_

◇糀発幸料理教室◇
開催日:毎週金・土曜日
参加費:各回5,500円(ランチ、実習した糀調味料のお土産付き)
①基本回(塩糀、醤油糀、糀水)
②応用回 (糀納豆、だし糀、オリーブオイル塩糀)
※その他の詳細や予約については直接お問い合わせください。

【編集後記】
明るくて、ピカピカ輝いているまりさん。これも「発酵を愛し、腸内細菌が元気だからだ!!!」と感じました。インタビューの中でとても印象的だったのが、「頭で考えたことより、腹で感じた“フッ”とくるヒラメキを大切に。そして、子どもたちのヒラメキも大切にしてください」というメッセージ。脳は刺激的なことは受け入れるし、思い込みも激しい。腸は刺激を受け入れられない上にとても正直。すぐに下痢や便秘として身体で教えてくれますもんね。脳と腸の比較ってやっぱり面白い!!!(LaLa編集部・T)

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