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「不登校をする時、子どもの心の中には何が起きているのか…/presented by 三宅医院グループ

子どもが不登校になってしまうとき、心の中には何が起きているのでしょうか?「朝起きるのがイヤだから…」「勉強が面倒だから…」「お家にいる方が楽ちんだから…」―決してそんな安易な理由だけが心の中で動いているわけではではないことを、どうかまず理解してあげてください。

 

「学校へ行けなくなって、好きな理科のことなんかもっといろいろ知りたかったのに何もできなくなっていたし、友達と話したり遊んだりすることもなくなって、ボクは残念だったしさみしかった。でもあの時、もし無理して頑張って学校に行っていたら、ボクはもっともっと大変なことになっていたんじゃないかと思う…」

 

小学6年から中学3年の夏まで不登校となり、その後2学期からほぼ登校して高校受験したある男の子が、受験の時、面接官に話した言葉です。この少年の両親は、彼にしてあげられることを根気強くカウンセラーと相談しつつ探して、彼の不登校を見守りました。

 

 

新しい環境にさらされる子どもたち

4月になって新年度を迎え、入学や進級で子どもたちの生活条件は大きく変化しました。まず目に入ってくるもの、低学年の子にとっては学校や教室への行き方、靴箱や掃除道具など周りの物の場所や使い方など未体験のことばかりで、扱い方やその場での流儀を取り入れていかなくてはなりません。「どこにあるんだったっけ…」「ほかの人はどう使っているのかな…」「これでいいのかな…」など、キョロキョロしながら慣れていくことになるでしょう。

 

学年が上の子になってくると、人間関係も大変化です。単に、友だちの顔ぶれが変わるというだけではなく「上手くやっていくにはどう動いたらいいのだろう…」「一緒に遊びたいと思ってくれるのか…」「話しかけてくれるのか、くれないのか…」「仲間に入れるのか、そのためにはどうしたらいいのか…」「その人たちは自分をどう思ってくれるのか、どう評価してくれるのか…」「つまらないやつと思っているのではないか」-。子どもたちは“なんとなくクラス集団に交じっていられるかどうか”だけでは済まされない、いろいろな新しい場のニュアンスにさらされます。

 

 

生徒が学校へ行きしぶっているころの様子を先生に聞いていると、「学校ではみんなと一緒に楽しそうに遊んでいますよ」と教えてくれることも少なくありません。しかし、全体を見ている先生にとって、一人の子どもの胸中まで深く読み取るのは難しいことです。

 

「新奇なもの」だらけの新学期

このように、子どもによっては今まで当たり前だったことがすべて“白紙”になって、一から作っていかねばならないという事態に出合っていると言えましょう。

 

新学期は「新奇なもの(珍しくて扱い慣れておらず、よくわからないもの)」だらけ。子どもはこれにさらされます。人間にとって「新奇なもの」は、活力に満ちて元気であれば好奇心を程よく刺激して楽しいものになります。つまり元気な子どもだったらワクワクして楽しいかもしれません。

 

反対に、疲れているときや気力がないとき、心配事や不安を抱えている上に親が何かほかのことで混乱していたり悩んでいたり、親自身に余裕がなくてそんな状態にいる子どもの心を護ったり慰めてやることができていないとき、「新奇なもの」は子どもにとってとても恐ろしい、耐えられないものになっていきます。不登校や不登園はそんな時に現れやすいのです。

 

「子どもの味方になってあげる」

子どもがそんな状態になった時、お母さんがしなくてはならないことは「子どもの味方になってあげる」ことです。本人が一番安心して、頼りにできる存在でいてあげることです。

 

無理強いしたり、そそのかして無理やり学校へ連れて行く▽「なんで学校へ行けないの!?」と強く詰問する▽お友達の前で泣いているのに無理やり教室に入れたり、先生に引き渡したりする▽「学校行かなかったら、大人になれないよ」「お仕事もできなくなってお金が無くなってしまうよ」「遊びにも行けなくなるよ」などと脅迫する▽「お願い、頼むから行って!」とお母さんが懇願する▽「○○を買ってあげるから、学校へ行こうよ」と物で釣る-これらはしてはいけないこと。子どもにとって、お母さんが「本当に信頼できる味方」ではなくなってしまいます。

 

お母さんがこのような出方になってしまうと、子どもは“味方がだれ一人いないような”孤独で不安な気持ちになってしまい、さらに気力がなくなってしまうからです。また、不登校が「ものすごく悪いこと」という認識を持たせてしまうことにもなり、後々自分の汚点のように思うことにつながりかねません。

 

また「なんで学校へ行けないの!?」「なんか理由があるんでしょ!」「ちゃんと言ってごらん!」-。こんな風に強く理由を詰問することは、いじめのターゲットになっているなど特別な場合を除いて、原則的には避けた方がよい行動です。不登校になり始めたとき、子ども自身はピンポイントで原因を捉えることができないのがほとんどなのです。でも、子どもは問い詰められると、「問い詰められている」という状況から逃れたいために、大人をとりあえず納得させることができそうな何らかの理由を口にしたりします。それは子どもをますます苦しくさせることになります。

 

 

「急がば回れ」

不登校をしていても子どもは成長します。子どもたちは学校に行っている時とは違う種類の成長をすることができるのです。もちろんなるべく早く、同世代の友達と“他流試合”ができてたくましくなれるような上手な作戦を首尾良く立ててあげることは大切です。そのためには、不登校支援の経験豊かなカウンセラーに音頭を取ってもらいながら、親御さん、学校スタッフが三つ巴で、子どもが学校に接点を持つことができる綿密な場面作りをしていくことが必要です。

 

しかし「急がば回れ」です。まずは子どもを安心させ、つまり「お母さんの優しさ・温かさ」という“ガソリン”をたっぷり入れてあげ、つまずきかけている子どもを少々のでこぼこ道でも乗り越えることのできる“走りの良い車”にしてあげることが大事なのです。(三宅医院 臨床心理士、ノートルダム清心女子大学名誉教授・清板芳子)

 

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7月30日(土)13:00から、オンラインセミナーを開催!!

『不登校をする時、子どもの心の中には何が起きている???…』

子どもが不登校に限らずなんらかの問題行動を起こす時、すなわち成長過程のどこかで危うい立ち止まり方をした時、親はものすごく苦しくなります。「なんでこの子は?」「なんで今?!」など激しく動揺し、その子のことを愛せなくなったり、自分の子育てを頭から否定してしまったりすることにもなったりします。

子どもの様子や対応など、具体的な様子を想定しながら、“立ち止まる子ども”の心の理解と対応のコツを、ご一緒に考えてみませんか?

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