みなさん、こんにちは!岡山生まれ岡山育ち、3児の母、内科医のたかはしじゅんこです。「大人も子供も夢を描ける社会」を目指し、自分も成長中。普段の子育てや生活などに関して医者の目線も交えながら、ママやパパが毎日を楽しむためのオススメ書籍をお届けします!
自己紹介は、初回をご覧くださいませ。
いよいよ秋!みなさまいかがお過ごしでしょうか?
秋と言えば、おいしいもの、芸術、スポーツなど…。
岡山県やJR西日本などによる推進協議会が実施する「おかやま秋旅キャンペーン」も始まりますね。
個人的には、瀬戸内国際芸術祭の秋会期、紅葉が気になっています。
先日初めて美星天文台に入れました。
美星天文台には口径101cm望遠鏡があり、スタッフの方の案内で実際に覗かせてもらうことができます。
待ち時間にも屋上から双眼鏡や望遠鏡で木星や土星を見せて教えてくれました。
中でも土星の環が見えたことに感激!
土星の環は氷でできているそう。大人になっても知ることができるって面白いですね。
2022年は、木星は10月中旬~1月上旬、土星は9~11月上旬が見ごろとのこと。
月が明るくない新月の辺りが星を見やすくお勧めです。
さて10月、最終回の第12回目に選んだ書籍はこちら…
「博士の愛した数式」小川洋子著(新潮社)
本書は累計273万部以上のベストセラーで、「青少年読書感想文全国コンクール高等学校部門課題図書」にもなった一冊。
著者の小川洋子さんと言えば岡山出身です。
登場する主な人物は、数字をこよなく愛する博士と、そこで仕事をすることになった家政婦とその子ども。
美しく、清らかで、そして数字に対して自然に愛着を持ってしまう、そんな気持ちになるような本です。
この本が出版されたのは今からもう19年前の2003年のこと。
19年前というと、みなさん何歳でしょうか?
そしてみなさん、数学はお好きでしょうか?
私はその当時、高校生でした。
数学が得意でないのに理系に進んだ私はとりあえず、問題と答えを何度も解いて解法を覚える形で勉強していました。
数字に苦手意識ばかりの私が出合ったのがこの小説でした。
高校時代、記憶に残る数学の先生がいました。
たしか非常勤で、かなり年配の男の先生でした。
先生は、黒板に数学の解答を書いて、「美しい……」と一言。
解答に美しいという言葉をあてるなんて、衝撃でした。
美しいと言えば、見た目、景色、心、絵画などで、まさか数字や記号の並びにまでその単語があてはまるとは思いもしませんでした。
その一方でいざ当てはめてみると、整然とした答えを導き出すということがとても素晴らしいことのように感じました。
その「美しい」解答を見た時の、本当に心がすっきりと穏やかになったような気持ちを今でも覚えています。
その感覚がなんとなく好きで、とにかくたくさん解いてその美しさを自分に落とし込もうとしていました。
この先生ともっと早く出会っていたら、もっと数学の捉え方が変わっていたかなぁなんて妄想したりして。
そんな数学とはすっかり離れた今、先日久しぶりにまた本書を読み返しました。
今でも数字の感覚は弱くがっかりすることの多い私ですが、再び心が温まり穏やかな気持ちを思い出しました。
大人になるにつれて、子どものときの気持ちを忘れていく-そんな風に思うことはありませんか?
忘れていくのは仕方がない。けれどあの時の気持ちは、実は自分の宝物だったりすることもあるかもしれないなと思う近頃です。
並行して、家事代行を仕事とする主人公にまつわる話も、今から19年前に書かれたとは思えないほど違和感のない形で描かれています。
どういうことを気にしながら働く仕事か、一人で子どもを育てること、子どもへの愛情、子どもの一人前の心などがスッと入ってくる。
母として、子どもとしても共感できる感覚がたくさんありました。著者が岡山出身という背景は関係あるのかないのかは分かりませんが。
最後の結末まで、お楽しみに。
今回、コラムで初めて小説をご紹介しました。
「現実は小説より奇なり」と言いますが、小説が現実を変えることもあるかもしれないなぁと思える一冊でもあります。
「数学が苦手」
「子供を大事にしたい」
「いつも忙しい」
「温かいお話が好き」
そんなみなさまに、おすすめの一冊です。
あなただけの、大事な人生。
1冊の本から、豊かにしてみませんか?
読まれた方がいらっしゃいましたら、ぜひご感想を教えてくださるとうれしいです!
今月で「ニコニコ女医の、しなやかに生きるessence – 毎日の子育てを豊かに彩るおすすめの一冊 –」のコラムは終了いたします。
1年間、拙い文章ではありましたがお読みくださりありがとうございました。
素人にも関わらず、読んでくださった皆さま、何から何まで教えていただいた担当の方々に心より御礼申し上げます。
P.S.
「失敗と幸せは“お隣さま”-ニコニコ女医の、しなやかに生きるessence Ⅱ-」と題して、新たにコラムを検討中です。
できれば誰にも気づかれたくないのが失敗。「あぁ、穴があったら入りたい」なんて日常茶飯事。
でも中には、それが良きことにつながったりした経験もありませんか?
自身の失敗談とともに、匿名のみなさまの失敗談も共有させていただこうと思います。
失敗を昇華させて、さぁ、まさに今から輝く日常へ。
失敗談は、以下の①か②から簡単に匿名で応募できます。
①QRコード読み込み
小さいものから頭を抱えたものまで、何でも大歓迎です!
たかはし・じゅんこ(糖尿病専門医)
小学6年のとき将来の夢で医者を描き、現役で岡山大医学科へ。医療者のサポートのもと「患者が自分で自分を治療する」糖尿病に興味を持ち専攻する。その後3回の産休・育休を取得。育休中に社会の役に立ちたいとブログを開設し、想いを伝えることの重要性を実感。2022年6月20日に絵本を出版し、出版後初月の収益74,431円を全額寄付。理想の社会は「大人も子供も夢を描ける社会」。6歳の長女、4歳の長男、0歳次女の母。岡山観光サポーター「晴れシェルジュ」。
Instagram:個人 https://www.instagram.com/junko_takahashi_/
絵本: https://www.instagram.com/junmami_ehon/
note: https://note.com/junko0429/
絵本の詳細はこちらから
↓過去の記事はこちら
ニコニコ女医の、しなやかに生きるessence – 毎日の子育てを豊かに彩るおすすめの一冊 – ⑪ 限りある時間の使い方
ニコニコ女医の、しなやかに生きるessence – 毎日の子育てを豊かに彩るおすすめの一冊 – ⑩ あのころ
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