育児をしているとあいさつやマナーと同じように、
日本の文化も子どもに教えたくなりませんか?
日本古来の伝統的な漢方を継承する専門薬局「寿元堂(じゅげんどう)薬局」(倉敷市)に、
正月の「お屠蘇」について教えていただきました。
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◆「お屠蘇」とは?
日本の正月にはいろいろな習慣があり、新しい年の健康を願って飲む屠蘇(屠蘇酒)もその1つです。屠蘇は数種類の薬草を組み合わせた屠蘇散を日本酒やみりんなどに浸して作ったものです。屠蘇の名の意味には諸説ありますが、「病気を屠(ほふ)り、心身を蘇生する」ことから名付けられたともいわれています。
屠蘇は中国・三国時代の名医だった華佗(かだ)が考案したとされています。日本には平安時代に伝わって正月に宮中で屠蘇を飲む習慣が始まり、江戸時代には民衆にも浸透。医者の付けを歳末に届けるとお返しに屠蘇散をくれたそうです。当時の屠蘇は効き目が強く、身体に合わない人が飲み過ぎると不都合が起こることもあったとか。織田信長や豊臣秀吉などから厚く信頼されていた戦国時代の名医・曲直瀬道三(まなせどうさん)によって誰でも安心して飲める安全な処方が広く普及し、さらに飲みやすく改良されて今に至っています。
屠蘇で正月を祝う習慣は発祥の中国ではすでに廃れてしまいましたが、日本では「一人これを飲めば一家に病なく、一家これを飲めばその里に病なし」と効能を謳(うた)われ、新しい1年の健康を願うセレモニーとして親しまれています。
◆屠蘇散の中身と効能を教えてください。
屠蘇散の内容は地域や家庭によって少しずつ異なるようですが、現代の一般的な屠蘇散に含まれる薬草とその効能は次の通りです。
*白朮(びゃくじゅつ)・・・・・・利尿、健胃、整腸、止汗
*桔梗(ききょう)・・・・・・・・鎮咳、去痰、排膿
*山椒(さんしょう)・・・・・・・利尿、健胃、整腸、駆虫、消炎
*防風(ぼうふう)・・・・・・・・発汗、解熱、解毒
*肉桂(にっけい)・・・・・・・・発汗、解熱、鎮痛、興奮
*陳皮(ちんぴ)・・・・・・・・・利尿、健胃、鎮咳、鎮吐
内容を見ると、正月におせち料理などを食べ過ぎた胃をいたわるためや寒い時期に風邪予防のために飲むという考え方もできます。それぞれの薬草が総合的に作用し、身体を健康に保って病気から身を守るのです。
◆飲み方の決まりはありますか?
本来、屠蘇は屠蘇器を用いて年少者から順に飲むものですが、特別な器でなくても、屠蘇の歴史の流れや風習の意味を知った上で現代風の器を用いればいつもと違う気分を味わうことができます。自宅なら形式にこだわらず、かわいいとっくりで楽しんでもよいでしょう。今年は家族で屠蘇を飲みながら新年の健康を願ってみてはいかがでしょうか。
◆どこで購入できますか?
漢方薬を扱っている薬局やスーパーなどで販売されており、寿元堂薬局では1包108円(税込)で購入いただけます。また、オリジナルの屠蘇を作るワークショップ(下記参照)も開催します。
■■■手作りの『お屠蘇』作り■■■
寿元堂薬局薬剤師からお屠蘇の習慣や意味を学び、オリジナルの屠蘇散を作ります。持ち帰りできるので、お子様と一緒に参加してみてはいかがでしょうか。なお、お屠蘇(屠蘇酒)の試飲もできます。※車を運転される方は試飲不可。
日時/12月17日(日)17:00~18:30
場所/ギフトショップma-yu(マユ)(岡山市南区新保663-2)
参加費/1,500円
今年も残すところあと少し。
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