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国会議員に聞く!
「消費税増税で生活はどうなるの?」vol.1 ~野党側の声~

2019年10月に消費税率10%への引き上げが予定されています。
政府は増収分を財政健全化に回すとした当初の使途割合を見直し、
子育て支援や教育無償化の財源を加える方針ですが、
子育て世代にとって今の生活がどのように変わるのか知りたいところ。
野党側の立場から、岡山県選出の衆議院議員3人に話をうかがいました。

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高井 崇志(たかい・たかし)氏(48)

1969年北海道函館市生まれ。東京大学経済学部卒業後、郵政省(現総務省)入省。新潟県長岡郵便局副局長、岡山県企画振興部情報政策課長、総務省総合通信基盤局事業政策課課長補佐を最後に退職。2005年参院議員江田五月氏の秘書となり、09年衆院議員に初当選。衆議院総務委員、科学技術・イノベーション推進特別委員会理事、立憲民主党政務調査会副会長、団体交流副委員長として活躍。

■事務所
岡山市北区野田2-7-12-101
TEL 086-242-6060

■立憲民主党・高井崇志氏

「無償化に伴うさまざまな問題が置き去り 子育ての現場に寄り添った施策を」

安倍政権は12月8日、新しい経済政策パッケージを閣議決定しました。いわゆる「人づくり改革」として、消費税率10%への引き上げによる増収分1兆7000億円と事業主拠出金約3000億円を財源に、幼児教育の無償化、待機児童の解消、高等教育の無償化、私立高校授業料の実質無償化、介護人材の処遇改善などに取り組もうというものです。子育て世帯の教育費負担の増加やひとり親家庭の貧困率の上昇を踏まえれば、保育や教育費の負担を軽減するという政府の考え方や方針は共感できる部分もありますが、一つ一つの政策内容を見ると必ずしもすべてが賛成とは言えません。

若い世代が理想の子ども数を持たないのは「子育てや教育にお金がかかりすぎる」という理由からといわれ、今回の教育の無償化は少子化対策としても大きな効果が期待できるはずです。しかし、無償化により将来世代につけが回るのではないか、保育料を無償にするならば待機児童対策に使うべきではないかといった疑問があります。また、所得制限がないため高所得者への優遇を懸念する意見もありますが、これらについての説明もありません。幼児教育の無償化の対象をどうするかという問題も置き去りになっています。安倍政権は当初、認可外施設を対象外としましたが、保護者の皆様や与党内の反発もあって方針決定を先送り。どの施設が対象となるかはいまだに決まっていません。

待機児童の解消のため、2018年度から2022年度末までの5年間で女性就業率80%に対応できる32万人分の受け皿づくり「子育て安心プラン」の前倒し実施は一定の評価ができます。しかし、無料で預けることができる受け皿を単に増やすだけでは預けたい人が多くなり、待機児童問題がより一層深刻になることも予想されます。低賃金で慢性的な人出不足になっている保育士の現状を直視せず対策を先送りし、このまま無償化を進め、多くの希望者を募っては支離滅裂です。私は子育ての「現場」に寄り添った施策を検討し、それぞれのご家庭や子どもたちの現状を踏まえた政策にするため、国会の場でしっかりと議論していきたいと考えています。

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津村 啓介(つむら・けいすけ)氏(46)

1971年津山市生まれ。
東京大学法学部卒業後、日本銀行入行。オックスフォード大学経営学修士(MBA)。2002年に民主党衆議院議員選挙候補者に公募し、03年に比例中国ブロックより衆議院議員に初当選。内閣府大臣政務官、経済財政担当大臣補佐、民主党青年局長、民進党副幹事長、民進党国会対策委員会委員長代理を歴任。現在は希望の党に所属し、衆議院予算委員会理事として活躍。

■事務所
岡山市中区円山107
TEL 086-277-9900

■希望の党・津村啓介氏

「保育園増設が最優先 子どもの将来のために税金の無駄遣いをなくす努力を」

ひと言で言えば、子育てはしやすくなると思います。今よりも多くの税金を子育て支援に充てようという考え方には私も賛成ですが、心配事もあります。1つは、「子育てのどこを支援するのか」という問題です。安倍総理は消費税増税分の使途について総選挙前に「社会保障充実への配分を拡大した上で使途に教育無償化を追加する」と表明しました。簡単に言えば、子育てにかかる費用の中でも大きなウエイトを占める教育費を国が負担し、無償化するということです。素晴らしい考えですが、無償化する前にもっと大事なことがありませんか?例えば、岡山市では大森市長が「待機児童ゼロ」を目指すと表明していますが、保育園数を増やさずに保育料を無料にしても待機児童が増えていくばかり。同じ税金を使うのであれば、まず保育園を増やすことが最優先だと思います。

2つ目の心配事は「国の借金が増えていくと子どもの将来にツケが回るのではないか」という問題です。国の借金は年々増え続け、今では1000兆円を超えています。子どもたちを含め日本人は一人当たり1000万円近い借金を背負っている勘定です。今よりも保育園を増やしたり、無償化を進めたりすれば、保育サービスは充実するものの、借金は増えていきます。そのお金を返すのは将来の日本人、つまり子どもたちです。消費税は現在8%ですが、このままでは将来の増税は避けられません。おそらく10年後、20年後には消費税は10%を大きく超え、15%か20%になることでしょう。少しでも借金を減らし、消費税の増税を抑えるために必要なのは“税金のムダ遣い”をなくすこと。国会ではいつもそのための議論をしています。

子どもは国の宝。そして、子育て支援は最も重要な政策の一つです。だからこそ、その大切な財源を作りだすための議論をお母さんもお父さんも、皆さん一緒に考えてほしいというのが、国民の代表として国会に送っていただいている私からのメッセージです。

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柚木 道義(ゆのき・みちよし)氏(45)

1972年倉敷市生まれ。岡山大学文学部哲学科卒業後、株式会社有隣堂入社。2002年に民主党衆院議員選挙候補公募合格し、有隣堂を退職。05年に岡山4区より衆院議員に初当選。12年に超党派イクメン議員連盟を発足。民進党国会対策委員会副委員長、財務大臣政務官を歴任。現在は衆議院厚生労働委員会委員、法務委員会委員、超党派イクメン議連共同代表、希望の党幹事として活躍。

■事務所
倉敷市西中新田548
TEL 086-430-2355

■希望の党・柚木道義氏

「安倍内閣の消費税の使い道変更は、多くのママ・パパにとってプラスにならない!」

幼児教育・保育の費用の格差拡大へ
衆議院解散前の今年9月下旬、安倍首相は3~5歳のすべての子どもの幼児教育・保育の費用を無償化し、0~2歳の子どもも所得が低い世帯には全面的に無償化する方針を示しました。新聞報道によると、その後、認可保育所だけでなく認可外施設も原則すべて対象に加える検討に入り、認可外においては保育料を最大2万5700円まで補助するということですが、厚労省の平成24年の調査によれば1歳児の認可外保育所の89.4%が月3万円以上の保育料なので、これでは無償化と言えません。さらに、認可保育所に通わせている3~5歳は所得にかかわらず全世帯を原則無料化する方向でしたが、所得が高い世帯には補助額に上限を設ける方向へ方針を転換。子育て中のママ・パパにとって費用補助が増えるのはありがたいことですが、完全無償化ではありません。
むしろ、幼稚園に子どもを入れられる専業主婦の家庭は完全無償化となり、認可外保育所に預ける共働き家庭は補助が2万5700円にとどまり、延長保育や病児保育も無償化の対象になっていないため、“幼児教育・保育の費用格差”が大きくなってしまいます。特に、認可保育園に子どもが「落ちた」ご家庭では、無認可保育園に子どもを入れても費用負担があり「ダブル・パンチ」になります。

最優先させるべきは待機児童対策
 総選挙前に安倍首相は「待機児童解消を目指す決意は揺らぎません」と語りました。自民党の公約でも『子育て安心プラン』を前倒しして2020年度までに32万人分の受け皿を整備し、待機児童をゼロにするとうたっています。しかし、野村総合研究所(東京)の調査では、待機児童解消のために必要なのは「88.6万人分」といいます。働くママ・パパにとって子どもを認可保育園に預けられるかどうかは切実な問題であり、岡山市では待機児童数が2年連続で全国ワースト2位に。待機児童対策を最優先させるのが当然ですが、それに必要な財源が“幼児教育・保育の(一部)無償化”に使われてしまうのです。安倍内閣の計画では“待機児童ゼロ”という約束が果たされない可能性があります。

保育士の給与アップも必要
 保育士の待遇が改善されない限り、待機児童解消にはつながらないと考えます。学校で勉強して資格を取得し、試験を通ってせっかく保育園で働いていても、給与が上がらないという理由で退職する保育士が多いのが現状です。資格を持っていても保育園で働いていない「潜在保育士」が70万人以上いるという推計もあります。「保育園で定員を増やしたくても、働いてくれる保育士が集まらないので増やせない」という現場の声も複数聞きました。しかし、自民党の待機児童対策には保育士の待遇改善は含まれていません。全産業平均との月給格差が約10万円もあるのですから、保育士の待遇改善は保育の充実のための必要条件なのです。

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