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待機児童問題を考える

共働き世帯の増加によって保育所ニーズが高まる一方で、
保育施設に入れない待機児童問題が顕在化しています。
厚生労働省が発表した昨年4月1日時点の待機児童数のうち、
岡山市の849人は2年連続で東京・世田谷区に次ぐ全国ワースト2位。
そこで、岡山市と倉敷市の待機児童の現状、
待機児童に直面した保護者の思いを取材しました。

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■岡山市の現状について、4児(6~9歳)の父でもある小林孝一郎(40歳)岡山県議にうかがいました!

岡山市は2014年度まで待機児童ゼロでした。ですが、「待機児童」の定義は時期によって変わってきた上、国が決めた大枠の中で市区町村が基準を設定できるため統一されておらず、岡山市においても自宅から30分圏内の保育園に空きがあったり、特定の保育園だけを希望している場合は待機児童に含めないといった定義で計上されていなかっただけで、希望する施設に入れない未入園児童(2014年度までは「保留児童」で公表)が途切れたことはありませんでした。そこで岡山市は利用者目線に立ち、保育需要を正しくつかむため、自宅近くに空きがあっても第3希望までに決まらない子どもを待機児童とするなど定義を見直したところ、2016年には前年の5・4倍となる729人に急増。昨年4月現在849人で、2年連続で全国2番目となる多さになっています。
岡山市は待機児童対策として私立保育園の整備、小規模保育・事業所内保育事業の推進、保育士の処遇改善などを行い、昨年4月に市内保育園の受け入れ枠を919人分確保しましたが、新規に約700人の入園申し込みがあり、待機児童解消は難しい状況。受け皿のさらなる拡大に向け、今年8月からは公立幼稚園での預かり保育や、公立幼稚園の空き教室を活用した緊急一時預かりなどを実施しています。入園申込数は2015年度までは年平均約200人でしたが、それ以降は年平均約800人に膨れ上がっており、依然として供給が需要に追いついていないのが現状です。
保育の受け皿整備の大きな壁となっているのが保育士不足です。アンケートでは市内の半数以上の保育園が「保育士が不足している」「やや不足している」と答えており、休日勤務や残業などの厳しい職場環境や不十分な給与などが要因となっています。行政施策を1つ1つ着実に実行していくことに加え、みんなでアイデアや知恵を出し合い、民間の力も引き出して待機児童解消に取り組んでいきたいですね。

☆編集後記☆

依然として岡山の待機児童数は大きな問題であることがわかりました。実際友人の中にも待機児童になり春からの働き方を悩んでいるのが現状です。シッターさんや一時預かりをもっと活用でき保護者の不安が減り、待機児童がゼロの岡山になる日が早く来て欲しいです。

■倉敷市の現状について、倉敷市議会議員 齋藤武次郎氏(54歳)にうかがいました!

倉敷市の待機児童は2008年4月時点で24人でしたが、2015年4月には国の待機児童の定義変更で求職活動中の場合も待機児童に含めることとなり一気に180人に増え、そして昨年4月は186人と全国ワースト34位に。また、待機児童とは別に、希望する保育園の空き待ちや入所の事前予約、保護者の求職中などの未決定児は183人いました。倉敷市は「子育てするなら倉敷で」と言われるまちを目指してさまざまな子育て支援に取り組んでいますが、保育需要対応においては地域や年齢により大きく偏っていることや保育の受け皿整備を上回る増加などにより、残念ながら待機児童の解消に至っていません。
 待機児童対策として、保育サービスの利用に関する相談や入所未決定児のアフターフォローに応じる保育コンシェルジュを2014年度から市担当窓口に配置。保育所の増築や新設(7園)、こども園への移行、特に待機児童が多い0~2歳までを保育する小規模保育事業の実施などによって26施設増加し、合計定員は1523人増えました。また、私立幼稚園や公立幼稚園の預かり保育により保育を必要とする児童の受け入れも行っており、2016年度から国において制度化された、従業員の子どもを主な対象として保育を行う「企業主導型保育事業」をPRするなど、きめ細かなサポートとともに保育の受け皿確保に取り組んでいます。
また、施設整備に伴い必要となる保育士確保については、2015年度から保育士・保育所支援センターを立ち上げ、保育士の掘り起こしや離職防止などに力を入れているところです。しかしながら全国的に働き手が不足する中、保育需要の高まりによる保育士確保がますます困難となっています。こうした中、倉敷市では昨年度から県内他市に先駆けて保育士宿舎借上げに対する助成をスタート。今後も施設整備と保育士確保の取り組みを進め、一日も早い待機児童の解消を実現してほしいと考えています。

☆編集後記☆


働く女性が増えていく中で待機児童を少しでも減らし保育士確保など子育てするなら倉敷で!と言われる町作りに沿った取り組みを現実に向け一日も早く実行して頂ける事を願います。

待機児童問題に直面したパパ・ママたちの声

岡山市北区在住のSさん
 保育園の待機期間が長く、なかなか仕事に復帰できない。市役所の空き情報を見ても空いておらず、第3候補まで記入したところで結局どうにもならないのではないかと思う。
◇岡山市北区在住のTさん
 2歳と5カ月の子どものシングルファザーだが、子どもを見てくれる人が近くにおらず、保育園にも入れないので職業訓練校に通っている。保育園入園の優先順位を決める基準点数の付け方が理解できない。
◇岡山市中区在住のKさん
 自宅からは北区の保育園も近いので候補に入れていたが、保育園入園の基準点数が同点の場合、住んでいる区の方が優先されると知り、びっくりした。
◇岡山市中区在住のFさん
 待機児童が多いと聞き、妊娠時から保育園の見学や説明会に参加していたが、体力的にも少し大変だった。現在、保育園の空き待ちで息子を見ながら仕事をしているが、なかなか仕事量も増やせず困っている。保育園入園の基準点数も同じくらいの方が多いようで、「この点数では入りにくい」と市のこども総合相談所の方に言われ、フルタイム勤務ができない状態。 一時預かりの保育園を探して見学に行ったが、保育料が1日数千円かかり、週5日利用すると高額になるため、預けて働くのは難しいと思った。

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