前回は子どもたちの健康なお口を守り育むことのうち、「鼻呼吸」を育てるためにできることについてお伝えしました。
今回は「食べる力やコミュニケーション」を育てるためにできることについてお伝えしていきます。
離乳食期は、液体だけ飲んでいた赤ちゃんが食べることや飲み込むことを失敗しながら学び、食べる力を育む大切な時期です。
月齢だけでなく、お口の中の変化によって食べる道具が増え、新しい機能を獲得することを繰り返して学んでいきます。
3歳ごろには乳歯が全て生えてくるお子さんが多いです。
各時期の学びを経験し味わうことで大人に近い食事ができるようになりますが、乳歯では永久歯にある奥から2本の大臼歯がないので噛む力は1/3くらいです。
大人が良い見本となる食べ方を見せながら、ゆっくり成長を見守ることが大切。食べる力を育むために幼児食以降も意識していきたいことをピックアップすると、「前歯を使ってかじり取る」「奥歯を使ってすりつぶす」の2つが挙げられます。
前歯を使うことによって、一口量を学ぶ▽口を閉じる力が育つ▽食べ物を感じるセンサーが働くという効果があります。
そのためにお家でできることとして、ご家族皆さんが大きな食材を中央の前歯でかじり取りお手本を見せることをお勧めしています。
何も意識しないと大人も前歯を使わずに食べていることが多いので、ぜひ取り入れてみてください。
2つ目は奥歯を使ってすりつぶすことです。
奥歯を使うためには、食べ物を舌で歯の上に乗せ→顎を上下左右に動かし→奥歯で噛んで磨りつぶすという作業が必要。それを学ぶためには、中央の前歯でかじり取った後に奥歯でよく噛むお手本を見せることが大切です。
それに加え、舌をしっかり使う食べ物、例えばお口の中で皮や種、骨を分けて取り分ける経験を安全に注意しながら少しずつ積み重ねて練習すると、舌のコントロールが上手になり、食べることだけでなく話すことの成長にもつながります。
言葉を話したり表情豊かに表現する力は、周りの口の動きや表情を見たり聞いたり五感で感じ取って真似しながら育っていきます。
そのためにできることとして、
・マスクを外したコミュニケーション
・童謡唱歌を歌う
・スキンシップやベロタッチ
・唇や舌を使って遊ぶ(にらめっこなど)
などがあります。
遊びの中で楽しみながら、コミュニケーションが育まれる機会をサポートしていくことが大切です。
ここまでコロナ禍を生きる子どもたちのお口を見てきた中で、歯科医師として改めて学び、今後の子どもたちの未来に活かす必要があると感じたことをお伝えしてきました。
子どもたちの健康を守り育て、さまざまな立場から未来を育みサポートしていくためのヒントになれば幸いです。
横道由記子
子どものころ、むし歯だけでなく歯並びに悩んで矯正治療を受けた経験から「予防歯科」という言葉に引かれ、地元岡山大歯学部で学び平成25年に和気歯科医院院長となる。むし歯予防だけでなく、噛み合わせにおいても原因を見つけ治療と合わせて予防していく考え方を学び、医院では我が子の子育てで悩み・学んだことを生かして小児歯科・小児矯正歯科を担当。地域の幼・保育園や公民館での子育て支援事業や企業主催の健康教室などで、健康なお口と心身を育むサポートを積極的に行っている。
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・コロナ禍を経て、子どもたちの健康を守るために①マスク生活とお口の機能(0~5歳)
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