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家庭と世界を繋ぐ ~ママの視点でSDGs ~(Story1)

海外に拠点を置くラグジュアリーなファッション誌「ELLE(エル) 」の日本版も、特集を組むSDGs/エスディジーズ(Sustainable Development Goals)。最近は、岡山県内でも、SDGsの取り組みに努めている企業を身近に見聞きする機会も増えましたよね。でも、「SDGsって、一体何だろう?」「SDGsって、私たちの暮らしとは関係ないことでしょ!?」と思っている方も多いのでは?そこで、LaLa編集部では、「SDGsの原点は、実は家庭にあり!」ということをわかりやすく発信し、ママ達と創り上げる持続可能なライフスタイルのヒントを探していきます。

その最初の一歩として、岡山県JICAデスク国際協力推進員の守都未来さんに取材。

守都さんのグローバルな視野点とママの視点から見えるSDGsをお伝えします♪

 

そもそもSDGsとは?

SDGs(Sustainable Development Goals)とは?2015年9月国連サミットにおいて、2030年までに持続可能でより良い世界を目指すために、世界のリーダー達によって決められた国際目標。誰1人取り残さずに、世界が一丸となって達成する目標とも言われ、17の国際目標と169の具体的目標で構成されています。

’国際目標’と聞くと、なんだか難しそうな響きですよね?

でも、下図の指標をよく見てみると、まずは、家庭という最小単位の社会から解決できることが沢山ありそう!さざ波のような家庭での日々の小さな実践が、地球上の’世界’という社会にビッグウエーブを起こせそう!

 

例えば、ママが直ぐに実行できるのは目標のNo.12「つくる責任 つかう責任」~お買い物編~

No.12とファッションを紐づけてみると—。サイクルが早いトレンドを追った安価な服の裏側には、問題が山積しています。生産国の作り手が、時に生命を脅かされる環境で搾取されながら働かせられているケースが非常に多く、また、コットンを育てる際の農薬問題、化学染料で染めた時に排出される有害化学物質による水質汚染などは代表的な問題です。解決すべき問題を”ファッション”にフォーカスしただけでも、人権侵害、環境破壊、健康被害や児童労働など、ここでは挙げ切れません。だからこそ、アクションが起こしやすい。生産国の環境に負荷がかからず、使い手も作り手も幸せで、持続可能なお買い物に少しずつでもシフトしていく事が問題解決の第一歩。また、国内には、地域の伝統工芸や文化をオシャレかつ魅力的に発信している人たちも多くいるので、洋服を購入するときは国内に目を向けてみるのも、目標達成のヒントになるかもしれませんよ。

 

岡山県内のSDGs

全国的にみても、SDGsはまだまだ浸透途中。

しかし、岡山市と倉敷市は、SDGs未来都市にも認定されていて、各々の自治体、民間企業での取り組みは盛んになってきているのだとか。特に、岡山は、熱心にESD(持続的な社会づくりの担い手を育む教育)に取り組んできた経緯や環境学習センターが年間400本の出前講座を行うなどの地道な活動をしており、その成果は、SDGsを環境分野からわかりやすく体験できるという機会をつくり出しているようです。山の栄養をしっかり受け取って、真庭の源流から瀬戸内海へ流れ込む旭川。山と海の豊かさから、私たちは、驚くほどの恩恵を日々受けています。その恩恵は、山と海の生命の循環があってこそ。その循環の大切さを実感している人たちが連携し、自分たちの事業を通して山・川・海の環境を守る活動も生まれているそうです。

「点と点で存在していたものが、ようやく線になっていく!」という嬉しい瞬間が度々あるのだとか。

 

私たちの衣食住を支えてくれるものが、「どこからきたのか?どんな環境に有ったのか?」逆回しして辿って行ってみると、私たちが暮らす岡山県の豊かさや問題を知ることもできそうです。そして、その豊かさに感謝するのも、問題というもつれた糸を解くきっかけも、家庭にあるのかもしれませんね。

 

岡山と世界を繋ぐ虹の架け橋

未来(みき)さんは、高校卒業後カナダの大学へ留学。6年間のカナダでの学びを終えて帰国後、多文化の共生を目指すグループの立ち上げや岡山ユニセフ協会での勤務を経て岡山県JICAデスクへ。現在は、3児(9歳、7歳、5歳)の子育て中のママ。岡山県JICAデスクの主な仕事は、市民参加協力と民間連携。

例えば、前者は、県内での海外青年協力隊希望者へPRや隊員の県内でのサポートや教育機関での出前講座など。また、後者についての1つの事例は、食品乾燥機のメーカーである大紀産業株式会社 (岡山市)の技術を活かして、スーダン国内での食材ロスの問題解決に貢献できるかを実証中。こうしたSDGs関連の企業連携は増えているそうで、このように、県内企業の様々な専門技術と現地の資源のマッチングを通して、国際協力を推進しているとのこと。

県内の企業が、国内に留まらず活躍をしているのを知ると、とても嬉しくなりますよね。未来さんの経験を活かして、NPO、教育機関、自治体や民間企業、そして多くの岡山県の人たちの興味関心を沢山の国々と繋ないでいるなんて、まるで、色彩豊かな虹の架け橋のような役割も果たしているよう♪

 

『JICA』とは、外務省が所管するODA(日本の政府開発援助)を実施する1つの機関で、開発途上国への国際協力を行っています。

私たちが広告やニュースなどで見聞きする身近なところでは、海外青年協力隊や国際緊急救助隊(開発途上国での大規模災害の際に、迅速に派遣される医療、学術的な専門家チーム)などは、JICAが実施している事業の一つ。

photo by 大紀産業株式会社

子ども達の興味が世界を広げる

未来さんは、意図的に国際協力について家庭では話すことはないそうです。

ただ、未来さんが学んでいる姿や働いている姿を見たり、日々の暮らしの中で、子ども達から飛びだす多種多様な質問が、結果的に世界とつながる話になっていくそうです。ある日「砂糖の摂りすぎが、なぜ身体によくないのか?」という話題になった時に、「砂糖をつくる国の話を聞きたい!」とリクエストがあがったり、ジャマイカ人とスペイン人からスペイン語を習う未来さんに、「なんで?同じスペイン語を2人の先生から習うの?」と子ども達から率直な疑問があったことも。

スペイン語が中南米に渡ったストーリーや同じスペイン語でも違いがあることを話したり̶

こうした日々のコミュニケーションの積み重ねが、お子さん達が、他国の暮らしや環境に興味を抱くきっかけに。9歳のお子さんは、自ら「関心のある国について調べてみたい!」という好奇心とリサーチする行動力が自然と育ってきているようです。

原動力はシンプルにナチュラルに♪

未来さんの家庭でのSDGsの取り組みはシンプル。何か購入するときは、「本当に必要か?否か?長く使えるのか?」必要なくなりまだ使えるものは、「周りに必要としている人はいないか?」などを考えるようにすること。また、お子さんの残食を減らすために、大皿に食事を用意することをお試し中。自分たちで食べられる量を考えて、自分たちでお皿にもりつける工夫をしたら、完食するようになり、食品ロスもだいぶ減っているのだとか。「自分のことが自分でできる・自分で決められる」という子どもの自信を育てることで、食品ロスもなくなるなんて!とても良いアイデアですよね。

 

高校生の時に訪れたカンボジアで芳名帳に記した「一緒に未来を創っていきましょう」という願いを心に、そして「しあわせな社会とは?」という問いを探求する未来さん。その姿から、子ども達と一緒に創る未来は、「今ここから」始まることに気がつかされるようです。

 

私たちの日々の思考や行動が、子ども達や世界の人々の明日への笑顔や涙につながるとしたらー。

「しあわせの社会とは?」「本来のしあわせとは?」

絶えず変化し続けるその答えをママ達も一緒に探求できると良いですね。

(編集後記)

美しいだけではなく、知性もあり、パッションもあり、時より、サバッとした潔さもある守都未来さん。ある文化人類学者が「グローバルという言葉は、多国籍企業に対しての言葉ではなく、本来は「地球全体」という意味があるのです。」というお話をしてくださった事を思い出します。「しあわせな社会とは?」という事を探求し続ける未来さんと本来の「global」ということの支点が何だかオーバーラップした取材でした。(編集部・T)

 

□守都未来

岡山県JICAデスク国際協力推進員

岡山市北区奉還町2-2-1

(一財)岡山県国際交流協会内

Tel : 086-256-2917

Email : jicadpd-desk-okayama@jica.go.jp

 

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