さっきまで元気に遊んでいたかと思ったら、急に嘔吐!
食欲はあるようなのに食後に、急に嘔吐!
大切な発表会の前に、急に嘔吐!
予防ができることではないため、子どもの急な嘔吐シーンでも慌てないように。
原因と対応について、倉敷成人病センターの天野医師に聞いてきました。
☑子どもの嘔吐の原因は?
☑重篤な病気が隠れている可能性はないですか?
☑嘔吐した時の対応は?
A.子どもの嘔吐の原因第一位は「ウイルス感染」です。
そもそも嘔吐は「胃」にそのウイルスが悪さをして起こす症状なのです。
嘔吐を繰り返す場合は、まずこのウイルス性を疑いましょう。
子どもの場合、単なる食べ過ぎで嘔吐してしまうこともあります。やはり、見分け方は回数です。ノロウイルスやロタウイルスは良く聞くウイルスですね。
親御さんの職場やお子さんが通っている園によっては、感染拡大を防ぐために、原因となったウイルスを特定する検査をする場合があります。ただし、どのウイルスでも薬の処方は同じです。「風邪がお腹に来た!」とよく言われるのは、風邪もウイルスによるものだからですね。
乳児期に接種する経口ロタワクチンが始まり、ロタウイルスによる乳児白色弁尖下痢症(白い便)が減り、また重症化する人が減りました。任意の予防接種ですので、かかりつけの医師に相談してみてください。
また、嘔吐の前後に下痢の症状が出ることが多いです。これは、腸でウイルスが暴れているからです。「嘔吐下痢症」は実は、時間差で症状が現れることがほとんどです。
A.嘔吐を繰り返す場合は、子どもがかかりやすいとされる、腸閉塞(ちょうへいそく)や腸重積(ちょうじゅうせき)の可能性も考えてください。
いずれにしても、胃ではなく腸が原因での嘔吐で、腸を痛がります。腸は運動したり、休んだりするため、その動きに合わせて、痛くなったり、治まったりを繰り返します。その間隔が短くなり、痛みが激しい場合は、早めの受診をお勧めします。また、便に鮮血(きれいな赤い血)が混ざるようなことがあれば、腸が傷付いている症状ですので、同じく早めに受診してください。胃腸に痛みを感じず、嘔吐を繰り返す場合は、髄膜炎、脳腫瘍などを疑います。この場合も、早めに受診しましょう。
また、ストレスから発症する自家中毒(ケトン性嘔吐症)にも注意が必要です。体内の脂肪が分解されてしまい「ケトン」が作られるため、血液中にケトンが増え、嘔吐を誘発します。尿検査でケトン量を調べればわかります。この場合は、糖分を補給します。
A.嘔吐直後は水分を取らないようにしましょう。嘔気が続いている間は嘔吐を誘発する可能性があります。30分ほど様子を見て、水やお茶などを少量から与えてください。嘔吐時にカリウムが流出するため、吐く量や吐き気が落ち着いたらイオン水が良いでしょう。
胃腸を休めるため絶食が基本です。ただ、水分摂取は必要です。吐き気があるうちは、ミルクの場合は少し薄めた方が良いかもしれません。刺激を与えないために炭酸飲料や吐き気を誘発しやすい柑橘系の飲み物は避けた方が良いです。また、絶食中は低血糖を避けるため糖分入りの飲み物が良いでしょう。ただ、吐き気があるうちは、水やお茶で十分です。
水分がとれない、嘔吐と下痢が同時にある場合などは点滴の必要があります。かかりつけ医に相談しましょう。
吐しゃ物の処理方法についてはこちらを参照してみてください。ママ自身や家族が感染してしまうと大変です。消毒液の準備や処理方法を知っておきましょう。
https://pro.kao.com/jp/medical-kaigo/improvement/kansen-taisaku/vomit/
【動画で見やすい!】
https://www.lionhygiene.co.jp/hygiene/start/waste-disposal/
【印刷して持ち歩こう!】
https://family.saraya.com/products/smarthygine/images/obutsu-manual.pdf
編集後記
胃と腸を総称して「お腹」と言っていますが、違う機能なので対応が違って当然。目からウロコでした。胃が痛い場合は嘔吐するため少しの間水分は控える。それなのに、水分が出てしまうため水分補給した方が良いと思い、嘔吐後すぐに水を飲ませていました。また、食後に嘔吐する場合、食べ過ぎなのか、調子が悪いのか判断に迷うこともあります。その場合は、嘔吐の判断は繰り返すかどうか。
「お腹が痛い」と言う時、胃なのか腸なのか、大人でもわからないことが多いですが、吐き気があるのか、下痢気味なのかで判断できそうです。対応が違ってくるため、症状によって判断すれば良いことがわかりました。
嘔吐も下痢も、体からのSOSなので、慌てず冷静に、適切な対応を心かけたいです。
いずれにしても、普段と違う子どもの様子に気付いてやれるのは、一番近くにいるママとパパですね。(LaLa編集部・F)
一般財団法人 倉敷成人病センター
〒710-8522 岡山県倉敷市白楽町250
TEL:086-422-2111(代表)
FAX:086-422-4150(代表)
※ご質問やお問い合わせ、資料請求は上記の電話またはFAXまでお願いいたします。
天野医師
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