みなさま、はじめまして!
絵を通して内面を読み解く「子どもの絵」心理カウンセラー「おじゃまき」と、思春期のコミュニケーションを回復させる親子ミーティング専門家「たなきょう」の子育てコラムにようこそ!
私たちは、これから大人になる子どもたちが「もっと自分らしく、もっとラクに生きられるにはどうしたらいいか」を考えるため、日々子どもたちと接する活動や保護者の方に第三者として感じることをお伝えするお仕事をしています。
本コラムでは、2人の経験や専門知識から「子どもたちが今感じていること」や「親子のコミュニケーション」についてお伝えしていきます。
初回はおじゃまきより「子どもたちが周囲の環境から受けている影響」についてご紹介します。
私はかつて、世界75カ国以上に広がる外資系大手人材派遣会社に30年勤めていました。
支店長として責任ある現場に勤めていましたが、仕事を通して「今の社会が抱えている大きな課題」を目の当たりにしました。
それは求職者の方を本人の適性などを話し合った上で企業に派遣しても、「ある日突然仕事に行けなくなってしまう=“心のバランスが壊れてしまう”方たちがたくさんいる」ということ。
介護により退職後、時間ができて学びを深めた結果「大人になって心のバランスが壊れるのは、幼少期に問題がある」と知り、ユング心理学に基づいたアートセラピーに出合いました。
現在は「子どもの絵」心理カウンセラーとして、故郷・岡山で美術館の対話型鑑賞のファシリテーションや、表には出ていない子どものSOSを知るために外向きの顔と心の内側を絵から読み解いたり、教育関係者や保護者の方たちに実際の絵の読み解き方をお伝えするお仕事をしています。
さて自己紹介はこれくらいにして。
2024年は明けたばかりですが、日本でも年始早々、能登半島地震をはじめ悲しいニュースが続いています。
被災された方、被害に遭われた方、ご家族の方々に心よりお見舞い申し上げます。
能登半島の被害はルクセンブルクでも当然話題になっているそうで、たなきょうの長女(小5)の友人は冬休みの宿題だった子どものニュース番組(ドイツ語)のレポートで、トピックとして選んだそうです。
発生時はまだ冬休み中だったため、ニュースでもワイドショーでも被害の様子が繰り返し報道され、家庭で映像を目にする子どもたちも多かったことでしょう。
大人は悲惨な出来事に関して「自分のアタマに入れる・入れない」をある程度コントロールできますが、子どもはそうはいきません。
見聞きするものは100%目や耳から子どもの心の中に入ってきます。ポジティブなこともダメージも真正面から全て受け止めているイメージです。
では子どもたちが実際にどのくらい影響を受けているのか考えられたことがあるでしょうか?
少し前には、コロナ禍で生活をはじめ日常にさまざまな規制がありました。また世界では今なお戦争が続いている地域もあります。
子どもの絵を診断したり対話型鑑賞のファシリテーターをしていると、それらの出来事が子どもたちの心に与える影響は、物理的な距離とは関係なく非常に大きいことが強く感じられます。
対話型鑑賞では、特に作品の背景については伝えず「作品の中で何が見えるか、何が起こっていると思うか、みんなでお話してみましょう」と投げかけます。
これは作品の“正解”を求めるのではなく、見て感じたことを引き出し楽しんでもらう方法。子どもたちの発想はとても面白く、自分たちで場面を設定してどんどんお話ができていきます。
しかし最近ではコロナ禍の影響からか、「感染すると怖い!」だけではなく「死にたくない!」という“死に対する恐怖”も色濃く現れるようになりました。
作品を見ながらみんなで思ったことを話していくと、楽しい絵でも「悲しい場面だ」と返ってくることが多くなってきました。
例えば、倉敷市の大原美術館にある20世紀の米現代美術家ジャクソン・ポロックの「カット・アウト」という作品。人のような切り抜きの後ろに、絵の具が飛び散っています。
かつてはこの切り抜きを見て「踊っている」「動いている」と楽しい感想が多く、ときにはその場で一緒に踊ってみたりもしました。
でも最近子どもたちから聞こえてくる声は、楽しい表現ではなく「逃げている」。
「え?逃げている? 何から逃げているの?」と聞くと、「戦争から逃げる人に見える」「赤と黒の点々は鉄砲で撃たれて血が飛び散ってるところ」など、今までとは違う反応にちょっとびっくりしました。
またパリ出身のポスト印象派の画家ポール・セリュジエ「二人のブルターニュ人と青い鳥」(同館蔵)では、一般的には青い鳥が「幸福の象徴」と言われるのに対し、子どもたちからは「顔が怖い・表情がない・のっぺらぼう・暗い」などなど。
今顕著に見られる特徴として感じるのは、絵を見て「悲しい」という子にその理由を聞くと、以前にはなかった「戦争だから」という答えがよく聞かれるようになったことです。
世界情勢も影響し、特に現代の子どもたちの心は繊細で傷つきやすい状態にあると日々感じています。
同じ事が子どもたちの描く絵からも多く見られます。
ここ3カ月くらいで130枚近くの絵を見てきましたが、楽しさや嬉しさより寂しさや不安の方が多いのか、茶色やグレー、紫など“おじいちゃん、おばあちゃんカラー”と言われる色、薄いピンクや水色など「寂しさの現れ」のような色など、いわゆる「子どもがよく使う明るい色」を使わない子が増えていて、「心の傷をたくさん負っていることが反映されているのではないか」と受け取れるようなことがよくあります。
また「否定の色」である黒や「怒りの色」である赤が多く、さらに二色が一緒になって大きな怒りを表していることもあります。
このように子どもたちが描いている物だけでなく、使っている色からも「ストレスがある」「精神的なエネルギーが足りない」「癒しが欲しい」など、子どもたちの心が疲れている状態が読み取れるケースが以前より増えました。
またコロナ下で「外に出ない」「コミュニケーションの機会が減った」ことが影響しているのか、太陽やヒマワリなど明るい絵をほとんど見なくなりました。
逆に寒色が使われることが多いので、感情を表に出さない子が増えているのではないかと感じています。
アートセラピーは治療的な役割も果たすため、ネガティブな心の部分を見ていくことに使われることも多いのですが、基になっているユング心理学では「自分の内面を抑圧している部分を解放する」という目的があります。
子どもの描く絵から、「表面には出していないSOSに大人たちが気づいてあげることが必要だな」と今特に感じています。
もしお子さんの絵の診断にご興味がありましたら2024年2月現在、数量限定で無料診断を続けていますのでこちらからお気軽にお問い合わせください。
またこのテーマをさらに具体的にお伝えするため「おじゃまき&たなきょう」の2人でインスタライブを行います!
詳細はそれぞれのInstagramでお知らせしますので、ぜひ下のリンクからチェックしてみてくださいね!
引き続き「オトナが見えているようで見えていない!子どもの本当のキモチ」をお伝えしていきますので、次回のコラムもどうぞお楽しみに!
おじゃまき(阪本眞基子、MORE+代表、「子どもの絵」心理カウンセラー)
岡山県出身在住。外資系大手人材派遣会社に支店長として長年勤務する中、支援する求職者を含め“心のバランスが壊れてしまう”大人たちにたくさん出会う。
介護により退職後「心のバランスが壊れるのは幼少期に課題がある」と知り、ユング心理学に基づいたアートセラピーを学ぶ。
現在は地元美術館での対話型鑑賞のファシリテーションのほか、「絵から診断!言葉にならない子どもの心理」と題して外向きの顔と心の内側を読み解いたり、教育関係者や保護者向けに実際の絵の読み解き方を伝えるなど、子どもたちの表に出ないSOSを知る活動を展開してる。
Instagram~家庭でできる簡単な絵の読み解き方をお伝えしています!
HP
・「子どもの絵」心理カウンセラー養成1day講座
・アートセラピーのご紹介
・岡山県倉敷市で企業研修・人材育成ならMORE+
たなきょう(田中響子、スーパースピーチキッズアカデミー代表)
東京出身、ルクセンブルク在住。「思春期の親子コミュニケーションを回復させる親子ミーティング」専門家。
関東の私立女子中高での8年間の勤務経験を通して、思春期の生徒たちが「親や先生から求められる私」を追求するあまり、本音を抑え込む姿に直面する。
その後、子育てが原因で親子が苦しむ“負の連鎖”を断ち切るため、定期的な親子ミーティングを通して子どものホンネを親が引き出す必要性を痛感。
国内外2500人以上の生徒指導経験や海外での子育てを通して、日本人親子に特化した「意見の違いを認め合う親子コミュニケーションノウハウ」を体系化。「たった15分の親子ミーティングで実践できるメソッド」として普及活動に努めている。
Instagram~家庭でできる子どもの本音を引き出す方法をお伝えしています!
HP
・親子1on1実践講座
・スーパースピーチキッズアカデミー
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