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[歯科医師ママの健康教室] マスク生活とお口の機能/コロナ禍を経て、子どもたちの健康を守るために①(0~5歳)

私は岡山市南区の小さな診療室でお子さんの治療や定期検診、小児矯正、お口の発達支援などを担当したり、診療室の外では地域の健康教室でお口の健康や発達についてお話したりしています。

親御さん方はこの3年間、新型コロナウイルスという未曾有の感染症に対応しながらの子育てに、悩むことがたくさんあったのではないでしょうか。

今回から3回に分け、この3年間に歯科医師としてお口の健康や発達を通して子どもたちと接する中で見えてきたこと、そして子どもたちの健康を守り育てるために大切だと感じたことをお伝えしたいと思います。

 

お口の機能への影響

お口は「食べる」「話す」「呼吸」「表情」など“生きる土台となる機能”を担っています。

コロナ禍~その後における、それぞれの機能に対する影響について考えてみましょう。

 

食べる

食べることは離乳食時期、周りの上手に食べる人を「真似しながら学ぶ環境」が理想。周りの大人や兄弟、お友だちなどの姿を見て真似しながらチャレンジし、試行錯誤しながら学び取っていくものです。

しかし核家族化が進んだ現代の家庭においては、親御さんが一人で離乳食をサポートすることが多く、大人と赤ちゃんの食事のタイミングが合わず、食べることを初めて学ぶ時期に実質一人で食べていることも多いと思います。

それに加えて感染対策により、園に通うようになっても先生の食べる姿を見ることができなくなり、お友だちとの楽しい食事も制限されるようになりました。

 

話す・表情

「話すこと」「表情豊かに自己表現すること」は、まだ言葉を話せない赤ちゃんのころから始まっています。顔を見てアイコンタクトできるようになり、表情を真似るようになります。

親の笑顔を見て口角を上げると、幸せを感じるホルモンが分泌され、身体の変化を通して感情を学んでいきます。やがて発語に向けて口元に注目し、声を出すようになります。

このように言語だけでなく表情や感情を豊かにし、コミュニケーションの土台を得る大切な時期、感染対策で家族以外の大人は皆マスクをして、表情を見ることのできる機会が圧倒的に少なくなってしまいました。

そして、自己表現の機会である歌や楽器をお友だちと楽しむことも制限されました。

診療室では、すでに言語や表情について学び経験のある学童期のお子さんや大人でも、マスクをすることで表情筋が緩み、お口がポカンと開いたり口角が上がりづらくなったりしている姿をよく見るようになりました。

 

呼吸

本来、哺乳類は鼻で呼吸する動物です。人間は話すために口呼吸できるようになりましたが、話していないとき、呼吸の基本は鼻呼吸です。

口呼吸やお口ポカンの問題は以前からあり、私も健康教室でお話してきました。ですがこの3年間、口呼吸になる方が増えたり、鼻呼吸するためにトレーニングしていたお子さんが口呼吸に戻ってしまう姿をよく見るようになりました。

原因として、マスクで呼吸しづらいこと▽口を使う機会が減り口を閉じる力が低下したこと▽身体活動の制限により姿勢を維持する筋力が低下したことなどが考えられます。

 

鼻呼吸のメリット

話すときや歌うときは口呼吸なのですが、それ以外のとき本来の呼吸器官である鼻を使って呼吸することで、口呼吸にはない効果が大きく3つあります。

空気清浄…ウイルスや細菌、ちりなどの異物を除去

加湿…乾いた空気を湿らせる

エアコン…さまざまな温度の空気を体温に近づける

この3つの効果によって整えられた空気が肺に送り込まれると、酸素を効率よく取り込むことができます。

鼻呼吸は全身の免疫力を守り、インフルエンザなどの感染症、皮膚や鼻などのアレルギー疾患、リウマチのような免疫疾患など、さまざまな病気の予防につながることがわかってきています。

 

あごやお顔の発育

口呼吸の影響はあごの発育や歯列にも見られます。

本来、下図右のように舌がきちんと上あごの歯列の中に収まっていると、歯列はまぁるい舌の形のようにきれいに広がっていきます。

しかし口呼吸して舌が下に落ちてしまうと内側から広げる力がかからず、外側からの頬の筋力や飲み込むときの唇の力がかかって狭い歯列になってしまいます。

実際に診療室ではコロナ禍を経て、矯正治療中のお子さんの歯並びの悪化や改善が難しくなるお子さんの増加を感じています。

 

また口呼吸は歯やお口の問題だけでなく、お顔の成長方向にも影響することがわかっています。

鼻呼吸していると上図右のようにお顔の成長は前方向に進むので、頬や鼻筋がしっかりして目がはっきりし、あごの輪郭もすっきりと明確です。

しかし、口呼吸していると左のように成長方向が下の方にズレるため、お顔が平らになり目の下が寂しい印象になって、あごは後ろに下がって首に近づいていきます。

 

口呼吸の影響

姿勢と呼吸にも深い関係があります。姿勢が悪いと口呼吸になり、口呼吸だと姿勢が悪くなります。

その他にも、口呼吸するようになると舌や唇の筋力バランスが悪くなり動きが硬くなるため、上手に食べることや正しい発音も難しくなります。

そして眠ると舌が気道に落ち込みいびきをかいたり呼吸が浅くなり、深く眠ることができないため酸素不足になって発達に影響することもわかってきました。

 

この3年、今までにない制限の中で過ごしてきたことによって、「現代社会において子どもたちの健康をどのように育てていかなければならないのか」に改めて気づき、考えさせられたのではないでしょうか。

次回は今回の内容を踏まえ、子どもたちの健康を守り育てるためにできることをお伝えします。今後に活かせるヒントになればと思います。

 

横道由記子

子どものころ、むし歯だけでなく歯並びに悩み矯正治療を受けた経験から「予防歯科」という言葉に引かれ、地元岡山大歯学部で学び平成25年に和気歯科医院院長となる。むし歯予防だけでなく噛み合わせにおいても、原因を見つけ治療と合わせて予防していく考え方を学び、医院では我が子の子育てで悩み学んだことを生かして小児歯科・小児矯正歯科を担当。地域の幼・保育園や公民館などの子育て支援事業のほか、企業主催の健康教室などで健康なお口と心身を育むサポートを積極的に行っている。

 

 

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