「子どもの絵」心理カウンセラー「おじゃまき」と親子コミュニケーションの専門家「たなきょう」の子育てコラムにようこそ!
2人の経験や専門知識から「子どもたちが今感じていること」や「親子のコミュニケーション」についてお伝えする本コラム。
私たちの経歴や活動、思いは初回コラムや一番下のプロフィールをご参照ください。
今回は「たなきょう」より、親子関係に限らず「コミュニケーションの中で必ず意識しなければならない大切な2つの柱」についてご紹介します。
eラーニングに関するサービスの企画や運用などを手掛ける株式会社イー・ラーニング研究所(大阪)が2020年、20~50代の子を持つ親を対象に実施した「子どもの教育と将来に関する意識調査アンケート」では、子どもに必要な能力第1位は「コミュニケーション力」という結果になりました。
日本には「相手を察する」という素晴らしい文化があります。
でももしかすると、本当は言葉で伝えるべきなのに「相手はきっと察してくれるだろう」という期待に甘え、言葉でのコミュニケーションが省略されてしまうケースも数多くあるような気がしています。
それに加え、近年はSNSやインターネットなどの普及により、直接顔の見えない相手に「どう的確に自分の考えを伝えるか」が問われ、ますますコミュニケーションの重要性が求められていると考えられます。
相手が大人でも子どもでも、コミュニケーションの中で必ず意識しなければならない大切な柱が2つあります。
①言語化
②心理的安全性
ちょっと難しいかもしれませんが、この2つは私が中高教諭時代やいろんな親子関係を見てきた中、改めて大切だなと感じたことです。
では、順番にお話ししていきます。
意外と理解されていないと感じるのが、「自分の感情や思っていることを人に伝えること」は、当たり前にできることではなく小さいころからの日常的な練習が必要ということ。
私自身も大いに当てはまるのですが、周りを気にしすぎたり幼少期に自分の感情を口にする機会が少ないと、大人になっても特にネガティブなことに対してすぐ「イヤだ」と言えないことが多いと感じます。
過去の経験からか「ネガティブな感情を口にしてはいけない」とどこかで思ってしまっているのですが、実はネガティブな感情がいけないのではなく、「ネガティブな感情をネガティブなまま放置してしまうこと」がいけないのです。
「ネガティブな感情」-例えば怒りや悲しみなどを感じるのは、「自分自身や自分が大切にしている『何か』が傷つけられそう」と感じているから。
でもその「何か」がわかっていないことはよくあります。
それは子どもも同じ。例えば「〇〇がイヤ」と言っていても、実際にはその子自身も本当に「イヤな原因」がわかっていないことが多いのです。
先日講座を受講していたママがこんなことを教えてくれました。
以前から登校にムラがあった小2の息子さんが数日間、「学校にいきたくない」と言っていたそうです。
「どうして?」と聞くと、「休み時間に鬼ごっこの鬼になることがイヤだから」。
以前なら「じゃあ違う遊びをしたら?」「違う子たちと遊んだら?」で終わっていたらしいのですが、今回は親子1on1で15分間ガッツリ向き合い本人の話を深掘りしていったそうです。
結果、実は本当にイヤだったのは「鬼になること」ではなく「実施予定の学力テストを受けること」だとわかりママはビックリ!
きっとお子さん本人はどこかで、「勉強でわからないところがあるから、わからない問題やできない自分に向き合うのはイヤだな」-そんな心配事があったのでしょう。
その後、お子さんと一緒にわからなかったところや今まで間違えていたところを復習したことで、お子さんの登校に対する不安が解消されたそうです!
いずれにしても、親が子ども自身に向き合うことはもちろん大切なのですが、さらにその先の「『子どもの課題や心配事』に親子一緒にじっくり向き合う」ことで、子ども自身が「自分は本当はどうしたいのか」を考えることが大切だと感じます。
では、そのとき最も大切なことはなんでしょうか。
それが2つ目の「心理的安全性」。ハーバード大で組織行動学を研究するエイミー・エドモンドソン氏によると、「対人関係においてリスクのある行動をとっても 『このチームなら馬鹿にされたり罰せられたりしない』と信じられる状態」と定義されています。
少し難しい印象を持つかもしれませんが、企業でも最近よく聞かれる言葉です。
これは「自分の意見が否定されない」「ルールに則っていれば何を言っても大丈夫」-このように理解されることが多いと思います。
実際、親が子どもの意見を押し潰したり、親が子どもを説き伏せたりするようなことは避けたいですよね。
でも実はこれだけでは“本当の心理的安全性”には足りないのです。
Googleで人材開発などに従事したピョートル・フェリクス・グジバチ氏は、自著「心理的安全性 最強の教科書」の中で、さらに噛み砕いて定義しています。
それは「メンバーがネガティブなプレッシャーを受けずに自分らしくいられる状態」「お互いに高め合える関係を持って建設的な意見の対立が奨励されること」。
つまりここで最も大切なのは、ただ単に「楽しくてやさしい」「対立しない関係」が良いわけではないということ。
誤解されていることも多いのですが、「子どもの意見を尊重する=子どもの意見をすべて飲む」ではありません。
頭では一人一人意見が違うのは当たり前とわかっていても、親子だとつい意見の対立や衝突を避けてしまいがち。
しかし子どもに対し“腫れ物に触るような状態”になってしまうと、健全な親子関係を築くことが難しくなってしまいます。
では、どのようにすれば自分も相手も大切にできる話し方ができるのでしょうか。
まとめるとこんな流れになります。
①それぞれ自分の言葉で自分の考えを話す(主観)
②相手の意見の中で「よく見えないな」と感じたことを質問し、自分とは異なる意見を理解する(相互)
③より良い解決方法を2人で協力して見つけ出す(共感)
親子関係は、親が上・子が下の「上下関係」でもなく、子どもが親との対立を恐れて自分の本音を潰すのでもありません。
対立しても意見のすり合わせ方法を知っている親子が、本当の「仲良し親子」。親と子は「人生のチーム」です。
ぜひ、家庭の中の「自己表現をする場所」を大切にしてみてくださいね!
また「子どもの本音はどうやって深掘りしていけばいいの?」と思った方は、過去に解説記事がありますので、そちらをご覧ください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
このテーマをさらに具体的にお伝えするため「おじゃまき&たなきょう」の2人で毎月インスタライブを行っています!詳細はそれぞれのInstagramでお知らせしますので、ぜひ下のリンクからチェックしてみてください!
引き続き「オトナが見えているようで見えていない!子どもの本当のキモチ」をお伝えしていきますので、次回のコラムもどうぞお楽しみに!
おじゃまき(阪本眞基子、MORE+代表、「子どもの絵」心理カウンセラー)
岡山県出身在住。外資系大手人材派遣会社に支店長として長年勤務する中、支援する求職者を含め“心のバランスが壊れてしまう”大人たちにたくさん出会う。
介護により退職後「心のバランスが壊れるのは幼少期に課題がある」と知り、ユング心理学に基づいたアートセラピーを学ぶ。
現在は地元美術館での対話型鑑賞のファシリテーションのほか、「絵から診断!言葉にならない子どもの心理」と題して外向きの顔と心の内側を読み解いたり、教育関係者や保護者向けに実際の絵の読み解き方を伝えるなど、子どもたちの表に出ないSOSを知る活動を展開している。
Instagram~家庭でできる簡単な絵の読み解き方をお伝えしています!
HP
・「子どもの絵」心理カウンセラー養成1day講座
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・岡山県倉敷市で企業研修・人材育成ならMORE+
たなきょう(田中響子、スーパースピーチキッズアカデミー代表、親子コミュニケーションの専門家)
東京都出身、ルクセンブルク在住。関東の私立女子中高での8年間の勤務経験を通して、思春期の生徒たちが「親や先生から求められる私」を追求するあまり、本音を抑え込む姿に直面する。その後、子育てが原因で親子が苦しむ“負の連鎖”を断ち切るため、定期的な親子1on1ミーティングを通して子どものホンネを親が引き出す必要性を痛感。
国内外2,500人以上の生徒の指導経験や海外での子育てを通して、日本人親子に特化した「子どもが思春期を迎える前に親が身につけておきたい親子コミュニケーションノウハウ」を体系化。「Kyoko式 親子1on1メソッド」として、東京でのセミナーやワークショップを始め、オンラインでもオリジナルメソッドの普及活動に努めている。
Instagram~家庭でできる子どもの本音を引き出す方法をお伝えしています!
HP
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・スーパースピーチキッズアカデミー
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