「出産」という言葉を聞いて、皆さんは何をイメージしますか？

痛い・つらい・不安という声をよく耳にしますが、視点を変えれば、母親の体の中で命を育み、生み出すこと。

「出産」はとても素晴らしいことだと思いませんか!?

出産に向けてベビー用品の準備も必要ですが、それ以上に大切なのが、親になるための心の準備です。

そこで、現役助産師のシャノン香織さんに、“妊娠中からのママの心と身体づくり”の方法やポイントを取材。

今回は『妊娠中の腰痛』をテーマに、その原因と対処法をお伝えします。妊娠したら腰痛があるのは当たり前、仕方ないなどと済ますのではなく、少しでも快適に過ごせるように一緒に考えてみましょう！

＊妊娠中の腰痛ってなぜ起こるの？

妊娠すると赤ちゃんや羊水などで子宮が増大し、その重みは妊婦さんにとって大きな負荷に。おなかが少しふっくらとしてきて、見た目にも妊婦さんらしさが増してくる時期の悩みとしてよく耳にするのが、「腰痛」です。腰痛は妊娠中のマイナートラブルの中でも頻度が高く、程度の差はありますが、妊婦さんのほとんどがその症状を訴えます。

 

なぜ腰痛が起こるのでしょうか？

 

妊娠し、おなかが大きくなって前に出てくるようになると、バランスが取りにくくなります。そうすると身体が反り返り、おなかを突き出すような姿勢となり、後ろ重心に。腹筋の筋力低下も加わり、腰が湾曲し背筋が突っ張って痛みが生じます。また、妊娠後半になると出産準備に向けてリラキシンというホルモンが分泌され、骨盤自体や靭帯（じんたい）が緩み、痛みを伴い始めます。

 

 

＊日常生活での身体の使い方のポイント

妊婦さんの姿勢は、猫背・反り腰・ガニ股歩行・後ろ重心などの特徴があります。非妊娠時から身体に負担がかかる姿勢を取ることが習慣になっていると、さらに痛みや疲労を引き起こします。普段から身体の使い方に気を付けて生活することが腰痛予防にはとても大切です。

 

◆良い姿勢の条件

・安定している

・疲れない

・美しい

・仕事や作業がしやすい

◆良い姿勢のコツ

・頭のてっぺんから糸でピンッとつるされているイメージで立つ

・顎を軽く引いて視線を少し上に向ける

・肩の力を抜きリラックスする

・恥骨とみぞおちの長さを伸ばすイメージで胸を少し引き上げる

・骨盤底筋が下を向いている

 

立っている時は、くるぶしの間に拳1つ分か2つ分入る足幅にするとバランスが取りやすくなります。歩く時は身体のバランスが取りにくくなっているため、身体を左右に揺らしてドスドスといった感じで歩きがちですが、できるだけ良い姿勢のコツを思い出しながら姿勢を維持し、股関節から大きく足を出して歩くようにしてみましょう。

 

また、座っている時に腰が丸まっていると、骨盤に体重が多くかかってしまうので腰痛になりやすくなります。背筋を伸ばして骨盤を立てて座ることができるように気を付けてみましょう。

 

＊骨盤ベルトの使用について

骨盤ベルトを使う場合には自分に合ったものを選び、効果的に使えるように助産師などに相談することをお勧めします。

 

骨盤ベルトもいろいろなものがありますが、骨盤ベルトがないと身体を支えられないわけではありません。私たちの身体には赤ちゃんを支える筋肉、産後に骨盤を締める筋肉といった“自前の骨盤ベルト”が備わっています。その自前の骨盤ベルトを使えるように普段の生活の身体の使い方から見直し、良い姿勢で過ごせる時間を増やすことで腰痛を軽減できるようになります。

 

 

働く妊婦さんが多い中、「何らかの運動」をしなくても、普段の身体の使い方が変われば身体は変わってきます。日々の動きの中で気を付けるポイントを意識し活動するだけで、それがトレーニングになります。まずは意識することから始めてみてくださいね。

そして、腰痛で身体がつらい時や不調を感じる時にはパートナーにマッサージをしてもらうなど、それが夫婦のコミュニケーションを取る良いきっかけにもなりますよ。

産前産後サロン 助産院あいのわ 助産師

シャノン⾹織さん

倉敷市真備町生まれ。2児のママ。倉敷市内の総合病院・個人病院に勤務後、2019年に自宅にて「産前産後サロン 助産院あいのわ」を開業。

 

『ココロオドルほどのしあわせな出産・しあわせな母乳育児をしよう』をコンセプトに、妊娠中からの心づくり＆身体づくりで笑顔で産前産後を過ごせるようお手伝いしています。すべてを包み込んでくれる柔らかな笑顔と語り口調に「話すだけで心スッキリ！」「ゆったり安心する」と産前産後のママから大人気の助産師さんです。