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まるでリアル!?お産の不思議と喜びを参加型劇で体験できる『おっ産ず』

山あり谷あり、何だか忙しい日常生活をこなすだけで毎日が過ぎていく…というママも多いのではないでしょうか。そんな日々に「命」の尊さが溶けていき、「命」を慈しむ原点を意識することすら忘れていませんか?命を授かってからこの世に誕生する瞬間まで、赤ちゃんとママは一心同体に生きる神秘的な関係。まるで箱舟のようなママのおなかの中で守られて育ってきた赤ちゃんが、「個」として大海原のようなこの世に誕生するプロセスとその瞬間は、やはり喜びと安堵感で満たされます。そんな瞬間を親子で体験できる機会があるとすてきですね。そこで、LaLa編集部は、「生まれること・生きること」の原点を、お産劇とワークショップでリアルに楽しく体験できる場をつくりだしている「おっ産ず」を取材。その活動の原動力や伝えたい思いなどを聞きました。


「おっ産ず」のメンバー。左から鳥越千裕さん、シャノン香織さん、小川華奈江さん、日向好恵さん

 

 

*4人のママが結成!その名も『おっ産ず(おっさんず)』

臨場感たっぷりの参加型のお産劇とワークショップを通して、子どもや大人に「生まれること・生きること」「生と性」の尊さを伝える活動を緩やかに展開している「おっ産ず」。メンバーは助産師の小川華奈江さん(5児のママ)とシャノン香織さん(2児のママ)、看護師の日向好恵さん(4児のママ)と鳥越千裕さん(2児のママ)の4人で、波長の合う仲間で結成したそうです。プロフェッショナルでありながら、LaLa Okayama会員と同様、子育て真っ最中のママたち!緩やかに穏やかに調和を取りながら続けていけるように、各自がそれぞれの活動にいそしむ中、この活動をとても大切にしていることが伝わってきます。

 

お産の時に、厳しさや大変さを体験されたママも多くいると思います。ただ、そのことにだけにフォーカスして「生まれてきたこと」を子どもたちに伝えるだけではなく、生まれてきてくれたあの瞬間の純粋な喜びも伝えてることができたら、全力で頑張り抜いたママが、ママ自身を純粋に褒めてあげることができるようになるかもしれませんね。その大切な瞬間を疑似体験と共に、子どもたちに伝えるナビゲートをしてくれるのが、この活動の大きな魅力の一つ。メンバーの笑顔と人を思いやる言葉の数々は、「人に自分を安心して委ねることの心地よさ」に気付かせてくれます。

 

 

*親子でお産の疑似体験

このお産劇は、針の穴サイズで始まる命がこの世に誕生するまでの過程を、紙芝居で分かりやすく伝えることから始まります。紙芝居が終わると、そこはさながら助産院!出産を間近に控えて陣痛の波が始まった、メンバー扮(ふん)する妊婦さんが助産師を訪ね、助産院にやって来ます。静まり返り、真剣に事の成り行きを見守る参加者たち。あまりにも自然に、参加者をお産の世界へ誘う彼女たちの演技力は、実体験と実務スキルがなせる技です。

 

妊婦さんの揺れる気持ちを優しく受け止める助産師。不安を一つ一つ安心へと変換するやりとりに、自分の出産の時を思い出し、涙を浮かべるママは珍しくないのだとか。その後、おなかにいる赤ちゃんの心音を聞き、出産体制に入った妊婦さんの背中をさすってくれる人を参加した子どもたちから募り、共に出産の時を迎えます。人の手の温かさを感じながら安心して息むママから赤ちゃん(体重や体の重さのバランスをリアルに再現した人形)が生まれた後、胎盤を出し、希望する子どもがへその緒を切るという参加型ならではの体験が続きます。

 

出産後の会話で使われるお産特有の言葉や小道具の数々など細部までリアルで、お産劇の臨場感を引き立てる再現性が素晴らしいことにも要注目!!!赤ちゃんをみんなで迎え、出産の喜びを分かち合った後は、ママのおなかと産道から生まれる2種類の体験ができる「子宮・産道体験ワークショップ」を行います。どちらの生まれる体験も、生まれる瞬間の表情や動作は人それぞれですが、とにかく皆さんが楽しそうで、自然と「おめでとう」というリアルに弾む声が幾重にも聞こえ、「うれしさは伝播(でんぱ)する」ということを再発見!実際の出産で赤ちゃんを待つ側だったママとパパも、このワークショップでは子どもたちがママとパパの誕生を待っていてくれるという、とても幸せで不思議な感覚が新鮮です。

 

会の最後は親子で落ち着いて向かい合い、和みのクロージング・タイムです。ママも子どもも「今のままで良いんだよ」と優しい言葉をかけ合いハグし、お互いをいたわります。時に口うるさくなってしまうママも、時にモンスターのように見えてしまう子どもも、もとの根っこは愛から始まった間柄。こんなふうに根っこをたどっていけたら、子どもとママ自身の存在がどんなにいとおしいものなのかを忘れずにいられそうですし、「大切な命」について子どもたちが興味を抱くきっかけにもなりそうですよね。

 

 

*おっ産ずに会いたい!!!

「おへそがママとつながっていた!」「胎盤というのがあったよ」「産道を通るのが恥ずかしかった」と、ママとの会話から聞こえてくる子どもたちの声。参加したママも「ワークショップの最後に子どもの手のひらと私の手のひらを重ねた時、生まれた時には小さな小さな手だったのにこんなに大きくなっていたんだと、改めて今までを振り返る時をいただきました」「子どもが生まれた時を思い出しました。劇の中で、子どもたちが胎盤や赤ちゃんに触れた時の満面の笑顔!考えることより、感じる体験が大切ですね」「子どもが新型コロナウイルスの報道で死亡者数などを耳にするようになり、『命』に興味を持ち始めました。命について考えるとても良い機会となりました」などと、たくさんのことを感じたようです。

 

普段から親子で「生まれること・生きること」について話すことで、この世に存在する生命の尊さを親子で共に学んでいけそうですね。おっ産ずは幼稚園・保育園や学童保育、子育て広場などで活動していますが、お産劇とセットで年齢に応じて「生と性」についても話してくれます。日本は性教育の後進国です。「性」というものが下世話なことではなく、命の誕生に密接していることも躊躇(ちゅうちょ)なく伝えていきたいですね。親子はもちろん、出産を控えた妊婦さんも家族で参加することで出産の予習ができるのでオススメです。皆さんもぜひ、「おっ産ず」を体験してみてくださいね♪

 

 

*今日ここにいるあなたに「ありがとう」

「子どもがいるからこその悩みや育児のしんどさは、いつかきっと将来の豊かさにつながります。命については知識だけで知るこはできません。体験を通して、湧きあがる幸せに立ち返ったり、言葉にできない喜びに気付ける場をこれからもつくっていきたい。子宮で育ち生まれてきて、この目の前に『今』存在してくれていることだけで『ありがたいこと』その感謝の存在である一人一人が、自分自身の存在を認めて自分自身を大切にしたいと思える。そんな活動をこれからもお産劇を通して続けていきたいです」とおっ産ずのメンバーたちは和かに優しく語ります。

 

人のいろいろな感情に左右されやすい時代だからこそ、誰かの悪感情に揺さぶられることも時にはあるかもしれません。でも、自分自身の原点に立ち返り、人の温かさや祝福されることの喜びを波紋のように広げていけたなら、子どもたちと共に幸せの波の上をサーフする時代に到達するのかもしれませんね。

 

 

■おっ産ず

連絡先:ossans.okayama@gmail.com

Instagram:https://www.instagram.com/ossan.s_okayama/

ワークショップ申し込みフォーム:https://ws.formzu.net/fgen/S8632626/

 

 

【編集後記】

針の穴くらいのサイズで始まった命を子宮で大切に育み、出産を経て、今日ここに、子育てに奮闘するママたちの存在は、本当に尊いと改めて思いました。この尊さに軽率に表面的な価値を決めるような社会ではなく、子どもとママが心身ともに穏やかで、祝福とともに生きられる瞬間が幾重にも続いていき、それが当たり前の成熟した社会になるとすてきだなと思う取材でした。(編集部・T)

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