初めての子育てはわからないことだらけ-。出産後から始まる子育て。子どもの誕生の瞬間は、パパ・ママの誕生でもあります。「どんなふうに育てていけばよいのだろう?」-そんな漠然とした疑問が湧いて、つい考えてしまうパパ・ママも多いのでは?「自分で考え、自分で行動する」。パパ・ママも自ら考えて行動していく中で、子どもたちも自分で考えて成長していける。そんな環境づくりができたら嬉しいですよね。自分で考えて行動する「自学力」の大切さをセミナーや講演でお伝えしている自学道Labo代表の安永吉光さんに、自ら学ぶ力の育て方ついて、シリーズでお伝えいただきます。
はじめまして。自学道Laboの安永と申します。私は大学在学中より東京の進学塾や予備校で講師として、延べ1800名以上の生徒に14000時間を超える授業を担当してきました。2011年に岡山県へ移住してからは、医学部受験の専門予備校の校舎責任者として、高校生や高卒生の医学部合格のサポートをしてきました。15年に独立して倉敷市に「自学道場」を設立し、今では小学1年から高校3年までの生徒が毎日学びに来てくれています。
さて、いきなりですがみなさんに質問です。
「もし、明日あなたがこの世を去ってしまうとしたら、今晩お子さんに何を伝えますか?」
実はこの質問、私がお母さん向けのセミナーで必ず最初に聞く質問なのですが、この質問の答えとして「明日の準備はもうできたの?」とか「宿題ちゃんとしなさい!」という人は今まで一人もいませんでした。
さて、あなたはこの質問になんと答えたでしょうか?
「友達を大切にしなさい」
「周りの人の言うことをよく聞きなさい」
「身体を大切にしてね」
といったところでしょうか。
「お金は大事に使いなさい!」なんていう人もいたかもしれませんね(笑)
どの答えも素晴らしい答えですが、共通する土台はみんな一つに集約されます。
それは「幸せになってほしい」ということ。
これは親から子どもへの“究極の願い”なのではないでしょうか。
特にお母さんからすると、自らお腹を痛めて産んだ大切な大切な子どもには「絶対幸せになってほしい」と願うのは当然のこと。そう、子育てのゴールはまさに「子どもたちが幸せな人生を送ること」なのです。
仮に一生懸命勉強させて東大に合格したとしても、人に嫌われるような人柄であればきっと幸せな人生とは呼べないでしょうし、逆に勉強ができなくても多くの人から好かれ、支えてくれる人がたくさんいるようであれば、その子の人生は間違いなく幸せなものになるでしょう。
ところが、日々忙しく子育てをしていく中で、このような「子育てのゴール」を忘れてしまい、目先のことで頭がいっぱいになっているお母さん、お父さんは少なくありません。
そして、皮肉なことに一生懸命子育てしているお母さんやお父さんの方が「目先のワナ」に引っ掛かっていることが多いのです。いろんな経験をさせてあげたいという純粋な親心から、たくさんのジャンルの習い事をやっているうちに、気が付いたら1週間は7日しかないのに習い事を10個もやっている…なんていうご家庭は実は珍しくありません。結果として、過密スケジュールに日々を忙殺されて、家族団らんの時間も取れず子どもは疲れ切っている…。これでは幸せには程遠い毎日になってしまいます。
子育てをしていると、ついつい周りの子のことが気になるもの。生まれた瞬間から、お母さんの心配は尽きません。「隣の子より背は高いか」「できることは多いか」「勉強が早くできるか」-。東で「3歳で足し算ができる子」を見つけては、「うちの子も足し算やらせなきゃ!」。西で「5歳で英検3級を取った子が」と聞いては、「うちの子も英会話教室探さなきゃ…!」。子育てに真剣だからこそ、お母さんは悩み、惑うものです。お母さんは出産後、我が子を守るために周りに対して大変敏感になるそうです。そういう風にできているのです。
ところが、子どもはモノではありません。生身の動物です。「早く大きくなりなさい!」と言っても無理なのと同じように、学習も「その子に適したタイミング」というものがあるのです。早ければいいというものではありません。
植物を育てるときに、肥料や水を与え過ぎると枯れてしまったり、虫に食われてしまったりするのと同じように、子どもたちには「適した時期に、適したものを」与えなければ、大切な個性の芽を摘んでしまうことにもなりかねないのです。
じゃあ、どんな時期に、どんなものをやらせたらいいの?ということに関しては次回以降、詳しくお伝えしていきたいと思いますが、今回私がお伝えしたかったのは、
①子育てのゴールは、子どもたちの幸せ
②母は心配する生き物
③子どもにはそれぞれに「タイミング」がある
という3点です。
ついついガミガミ言ってしまい「ああ、また言っちゃった……」と悲観的になってしまったときは「母はそういう風にできているから当たり前」と思うことが大切ですし、一方で、「子どもの幸せがゴールだよね」と視野を広く持っていくことも大切です。
子どもたち、特に10歳くらいまでのお子さんにとっては、お母さんが楽しそうにしているだけで、子どもたちは幸せを感じてくれるものです。お母さんもたまには息抜きをして、明るく、楽しくしている姿を子どもたちに見せてあげることも、大切な子育ての一環です。
将来を悲観することもなく、毎日を子どもと一緒に楽しくニコニコと暮らす。この土台があってこそ、その先の能力開発や学力向上がスムーズになります。まずは日々の生活を楽しんでいきましょう!
やすなが・よしみつ(自学道Labo代表、”成長し続ける親と子の場”自学道場塾長)
塾講師歴20年で延べ1800人以上の生徒を指導し、「自分から学ぶ子」の育て方についてセミナーや教育講演などを開催。プライベートでは一児のパパでもあり、岡山のパパ、ママ、子どもたちからは、親と子どもの間の中立な立場の存在として、相手に寄り添ったアドバイスと穏やかな人柄が支持されています。
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