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『自学道のすすめ』~自ら学ぶ力の育て方~② 就学前に育てておきたい力って?

わからないことだらけの初めての子育て。パパ・ママも自ら考えて子育てしていく中で、子どもたちも自分で考えて成長していける。そんな環境づくりができたら嬉しいですよね。連載コラム「自学道のすすめ」では、自分で考えて行動する「自学力」の大切さを伝える自学道Labo代表の安永吉光さんに、自ら学ぶ力の育て方ついてシリーズでお伝えいただきます。

 

 

      

 

 皆さんこんにちは、自学道Laboの安永です。前回は「子育てのゴールとは何か」をテーマに、

①子育てのゴールは、子どもたちの幸せ

②母は心配する生き物

③子どもにはそれぞれに「タイミング」がある

という3点を意識して、お母さん自身が子育てに一生懸命になりすぎないことが大切だとお伝えしました。今回は、「小学校入学までに身に付けておきたい力」についてお話します。

 

◎子どもたちの発達のステージ


 前回のコラムでもお伝えしたように、私たち親の究極の願いは「子どもたちが幸せな人生を歩んでくれること」です。そこで、まずは子育ての全体像を見てみることにしましょう。 図のように、18歳の誕生日までをいったんのゴールとして置いたとき、子どもたちには0~2歳、3~5歳、6~8歳、9~11歳、12~14歳、15~17歳と3年ごとにさまざまな変化が訪れ、それぞれのステージで求められることが異なります。今回は0~2歳、3~5歳について詳しくお伝えしていきますが、この図は子育てをする中でも常に意識をしておくとよいでしょう。

 

◎0~2歳のときに気を付けたいこと

0~2歳は子どもたちにとって、最も多くのことを吸収する時期となります。新生児の寝ている状態から寝返りを打つようになり、ハイハイを始めたり、立ったり、歩いたりと最初の3年間で大きく成長します。

そして、その成長は身体的な面だけではありません。精神的にも人見知りするようになったり、いわゆる「イヤイヤ期」を過ごしたりと、「自分の内側の世界と外側の世界」や「自分と他人の違い」を認識し、「周りの人は信頼できる人かどうか」と様子を見ていく時期でもあります。

そのため、この時期に両親や兄弟、周りの人たちとの「信頼関係」や「愛情」を感じられないと、その後の自己肯定感(=自分に自信が持てるかどうか)に影響を及ぼし、「自分は愛されていない」と感じて、無気力な子どもになってしまうことになります。

そこで、0~2歳の間で気を付けていきたいのは、お子さんとのスキンシップをたくさん取ったり、「大好きだよ」「宝物だよ」と伝えたりすることです。

お母さんにとって、産後のしんどいときやイヤイヤ期の時期にお子さんとコミュニケーションを取るのは、とても疲れたり、大変に感じたりすることもあるでしょう。そんなときは、周りの大人たちが代わりをしてあげることも大切。お父さんがコミュニケーションを積極的に取っていけるように努力したいものです。

この時期は、お母さんが子育てする上で最も忙しく、体力的にも疲れる時期ですが、ここでお子さんとしっかりコミュニケーションが取れていると、その後の子育てがグッと楽しくなりますので、ぜひ気を付けてみてください。

 

◎3~5歳に気を付けておきたいこと

3~5歳は、幼稚園や保育園、こども園などに通うようになる時期ですね。少しずつ自分でできることが増え、2歳のころとはまた違った心配ごとも出てくるでしょう。また、3~5歳は小学校に上がる前の時期と言うこともあり、「少しでも先取りで勉強させておこう…!」と考えるお母さん、お父さんも多いようです。

ところが、お勉強に入る前に身に付けておきたい力があります。それは「聴く力」です。集中して注意深く「聴く力」は、そのまま園の先生の話を聴く力にもつながり、コミュニケーション能力が上がり、小学校へ上がってからの授業についていく力にもつながります。

実際、私が経営する塾「自学道場」で中学生に聞き取り力のテストを行ったところ、よく聞き取れていた生徒とそうでない生徒は、そのまま定期テストの結果と相関関係がありました。また、最近はYoutubeやTikTok等の動画の普及により文章を読むことが少なくなりましたが、聴く力が強い子は読む力も身に付きやすくなります。つまり、「聴く力」は学力にも直結する力なのです。

 この「聴く力」を育てるには、集中して聴く時間を意図的に作ることです。例えば、お母さんがお子さんにお手伝いをお願いしてその手順を伝えたり、お母さんがお題を指定してそのお題に合った絵を描いてもらったりと、「手順や指示、お話を聴く」時間を作るとよいでしょう。

 こうして「聴く力」を育てると、後々の読み書きの力を育てるときにもとてもスムーズに入っていくことができるようになります。小学生以降の勉強で読解力が弱いと言われる子たちは、幼少期の「聴く力」が弱いことも影響しています。最近では聴く力を身に付けられるような教材も出てきていますので、ぜひ意識的に「聴く力」を育ててみてくださいね。

 

◎焦りは禁物!

そして、「聴く力」以上に気を付けていただきたいのは、「勉強を嫌なものにしないこと」です。

先取り学習をさせるがゆえに、できないことを叱られて、小学校に上がる前から勉強が嫌になっている子も見られます。勉強が嫌になってしまうと、これを覆すのは本当に難しくなります。ちょっと字が上手に書けたり、足し算引き算ができたりしたところで、大きな差にはなりません。またこの時期の子どもたちは、遊びの中から学ぶこともたくさんあります。お母さんの方が一生懸命になりすぎて、お子さんが勉強を嫌になってしまわないよう気を付けてくださいね。

未就学の子たちにとって、一番大切なのはお母さんとのコミュニケーションです。焦らずとも子どもたちは日々成長していますので、穏やかに過ごせるように心がけましょう。

 

やすなが・よしみつ(自学道Labo代表、”成長し続ける親と子の場”自学道場塾長)

塾講師歴20年で延べ1800人以上の生徒を指導し、「自分から学ぶ子」の育て方についてセミナーや教育講演などを開催。プライベートでは一児のパパでもあり、岡山のパパ、ママ、子どもたちからは、親と子どもの間の中立な立場の存在として、相手に寄り添ったアドバイスと穏やかな人柄が支持されています。

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