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『自学道のすすめ』~自ら学ぶ力の育て方~④ 小学校高学年での「壁」とは

わからないことだらけの初めての子育て。パパ・ママも自ら考えて子育てしていく中で、子どもたちも自分で考えて成長していける-。そんな環境づくりができたら嬉しいですよね。連載コラム「自学道のすすめ」では、自分で考えて行動する「自学力」の大切さを伝える自学道Labo代表の安永吉光さんに、自ら学ぶ力の育て方ついてシリーズでお伝えいただきます。

 

 

      

 

皆さんこんにちは、自学道Laboの安永です。前回「小学校低学年のうちに身に付けておきたい力」についてお話をさせていただきました。今回は「小学校高学年で起こりがちな『壁』」についてお話します。

 

◎小学校高学年で立ちはだかる「壁」とは

小学校も高学年になると、勉強に関して得意不得意が目立つようになってきたり、勉強嫌いになってしまったりする子も出てくる時期。この「壁」ができるのには原因があります。

高学年になると、本格的な4教科学習に加えて英語やプログラミングなどの授業も徐々に始まり、学習内容もグッと抽象度が増し難しくなってきます。一方の子どもたちの発達スピードは人それぞれ。そこで発達がゆったりなお子さんは周りができていることができないように見えてしまい、焦る親御さんがこの「壁」を感じやすくなってしまいます。

一般的に、女の子は男の子に比べて肉体的にも精神的にも成長が早いと言われています。そこで特に男の子のお母さんたちは、ただでさえ男子という理解しがたい行動をとる未知の生き物(笑)であるお子さんが勉強についていけていない状況になると、「この子の将来、大丈夫かしら?」と心配になるのはある意味当然とも言えるのです。

 

◎「壁」に負けない子にするためには

では、そんな壁に負けない子に育てるにはどうしたらよいのでしょう。先ほどもお話した通り、子どもの発達は人それぞれです。もちろん、兄弟姉妹でも差があります。そこで親御さんに心がけてほしいのは、「比べるのは昨日の自分」という言葉です。この時期に学力差がついてしまうことは、長い目で見た時にはそう大したことではありません。むしろ他人と比較して「我が子はできていない」と両親に思われることほど、子どもにとってつらく、悪影響になることはありません。

学力が伸びる子には共通するいくつかの条件があります。その条件とは、
①素直であること
②自分に自信を持っていること
③自分の「楽しい」を突き詰められること
という3つです。

この3つを備えていることは、将来にわたって何かを成し遂げるためにはとても大切な能力です。その中でも「自分に自信を持っていること」は、課題や壁にぶつかったときそれらを解決するために必要になる能力で、今のようなパソコン一つでだれでも色んなことができてしまう社会では、大人も含めなかなか身につけるのが難しい力でもあります。そこでこの「比べるのは昨日の自分」というところに基準を持ってくると、昨日より進歩したことに照準を合わせることができるので、褒めやすくなり、子どもたち自身も実感を得やすくなるものです。

たとえば「漢字ドリルの宿題を終わらせるのが昨日より早くなった」とか、「100マス計算でミスが減った」とか、「昨日と違って今日はお手伝いをしてくれた」といったような、昨日とは変わったプラスの出来事を指摘してあげましょう。

 

◎お母さん自身も「比べるのは昨日の自分」

またお母さん自身も、ぜひ子育てや家事を頑張っている自分を褒めてあげてください。お母さん自身の心に余裕がないと、子育てはどんなに頑張っても成果が出にくいものですし、心の余裕があってこそ我が子を褒めることができるものです。そしてこの「自分褒め」は子どもにとっても、大人にとっても絶大な効果をもたらします。

おすすめなのは「自分褒め日記」をつけることです。箇条書きで構いませんので、その日がんばったこと、自分で自分を褒めてあげたいことを1~3個、毎日書いてみてください。「自分には褒めるところがない」という方は、ぜひご自身が起きてお母さんをやっていることそのものを褒めてあげてください。最初は何も感じなくても、3ヶ月ほどすれば、気付かないうちに自分の心の余裕が見いだせるようになるはずです。書き始めは大変ですが、慣れるまで頑張ってみてください。

 

◎小学校高学年、学習に関する注意点

小学校高学年になると、子どもたちは少しずつ自我が芽生えるようになってきます。言い換えると、“半分大人で半分子ども”といった状態になってきます。この頃になると、中学受験を考えるご家庭もあるでしょう。そんなご家庭には特に気を付けてほしいことがあります。それは「学校や塾の先生のやり方を否定しない」ということです。これには二つの理由があります。

一つ目は、学習は指導者と受講者の信頼関係があることで初めて成立します。そこで親御さんが先生のやり方を否定してしまうとその信頼関係が崩れる原因となり、結果的にお子さんに不利益になるからです。二つ目は、今と昔では指導法がちがうということです。よくありがちなのが、中学受験を目指すご家庭で6年生になってから焦ったお父さんが中学校以降で教わるようなやり方で子どもに教えだす…という展開です。このパターンもお子さんの混乱を招くことになり、かえって成績が伸びなくなってしまうのです。

 

◎高学年を上手に迎えるためのポイント

このように高学年になると、徐々に親離れ子離れが進んでいくように、ご家庭以外の場所で大人たちとコミュニケーションが取れるような環境を整えてあげましょう。そのために塾であったり、習い事であったりと、さまざまな機会を用意してあげるのが親として望ましい姿です。

子離れは少し寂しい気持ちになることではありますが、子どもから自然に離れていくタイミングで手を放してあげることはとても大切です。子どもも親も信頼できる家庭外の第三の大人の存在は、子どもたちの人生を豊かにしてくれるものです。そんな大人に出会えるよう、たくさんの機会を与えてあげてくださいね。

 

 

やすなが・よしみつ(自学道Labo代表、”成長し続ける親と子の場”自学道場塾長)

塾講師歴20年で延べ1800人以上の生徒を指導し、「自分から学ぶ子」の育て方についてセミナーや教育講演などを開催。プライベートでは一児のパパでもあり、岡山のパパ、ママ、子どもたちからは、親と子どもの間の中立な立場の存在として、相手に寄り添ったアドバイスと穏やかな人柄が支持されています。

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