わからないことだらけの初めての子育て。パパ・ママも自ら考えて子育てしていく中で、子どもたちも自分で考えて成長していける-。そんな環境づくりができたら嬉しいですよね。連載コラム「自学道のすすめ」では、自分で考えて行動する「自学力」の大切さを伝える自学道Labo代表の安永吉光さんに、自ら学ぶ力の育て方ついてシリーズでお伝えいただきます。
みなさんこんにちは、自学道Laboの安永です。お子さんに「自主性を持って才能を伸ばしてほしい」と思う親御さんも多くいらっしゃるのではないでしょうか。今回は、そんな自主性を高める方法についてお話します。
まず、最初に自主性を高めるために必要な3つのやるべきことをお伝えします。
それは、
という3つです。
私の経営する自学道場では、「自学道®メソッド」という方法を使ってお子さんの自主性や自分から学ぼうとする力(=「自学力」)を高める方法を提供しています。その「自学道®メソッド」の中で土台となっているのがこの3つのやるべきことです。さっそく一つずつ見ていきましょう。
では、実はそもそも子どもたちには自主性が備わっています。何度転んでも立ち上がろうとしたり、歩こうとしたりするのがいい例です。生まれつき備わっているのが自主性という力です。
そんな本来備わっているはずのお子さんの自主性が、いつの間にか弱いように感じられるのはなぜなのか。それは「本人に選ばせる」という機会を、日常の中で知らず知らずのうちに奪ってしまうからです。
本人に選ばせるということは、お母さんの思い通りにならないことの方が多いです。特に急いでいる時や余裕がないときには、なかなか本人に行動を選ばせることはできないでしょう。そんなときには、子どもたちは我慢をすることになるのですが、日ごろから「自分で選ぶ」という習慣がついている子は、日ごろが満たされているのでいざという時の我慢ができるようになります。
逆に日ごろから「自分で選んでいない」子の場合、自分の意見が通らない経験が多いので、「どうせ言ってもさせてくれない」とあきらめるようになり、自主性のない子へと変貌していきます。
「自分で選ぶ」という経験からは、失敗や成功といった結果では得られないような力を得ることができます。「まず自分の思うようにやってみる」という経験が、自己肯定感を育む要素にもなっていきます。
いきなり「選んでごらん」というのは、子どもたちにとって難しいこともあります。そんなときは、2択で選ぶ練習をおすすめします。「こっちとそっちならどっちがいい?」というような聞き方ですね。「どっちでもいい」と返してくることもあると思いますが、「○○くんの好きな方でいいよ」と、あくまで最後の判断は本人に。お母さんの判断ではなく、本人の判断を尊重するように心がけましょう。
人間がなにかをしようとするとき、2つのパワーがあります。
それは「痛み」のパワーと「快」のパワーです。
「痛み」のパワーというのは、何かを損しそうなときや、恐怖心からそれをしようとするパワーのことです。一方、「快」のパワーは、楽しいことや心地良さ、安心感からそれをしようとするパワーです。
下の表のように、「痛み」と「快」にはそれぞれの特徴があります。
例えば、歯医者さんに行くことを考えてみましょう。歯が痛くなったら耐えられないので、すぐに歯医者さんへ行って治療してもらうでしょう。反対に歯の痛みがないときの定期的な歯科検診はついつい後回しになりがちですが、続けて通っていると、歯が痛む前に対処ができて効果的です。
このように、「痛み」のパワーには瞬発力がありますが、だんだん慣れてしまうと効果が薄れてくるもの。「快」のパワーは、持続さえすれば習慣化されて力が積み重なっていきます。
「好き」という感情は「快」のパワーに含まれます。「やってみたい!」「楽しい!」と思えることは長続きしやすく、能力も高まりやすくなります。「やってみたい!」というタイミングはまさに「やる時」です。
一方で、「痛み」のパワーの典型的な例が、「怒られるからやる」「言われたからやる」という状態です。最初のうちは怒られたくないからやるのですが、だんだんと怒られる側も怒る側も飽きてくるので、続かなくなったり、怒ってもやらなくなったりするようになります。この状態になってからでは「痛み」のパワーは通用しなくなってくるだけでなく、自主性とはかけ離れた「指示待ち人間」が誕生してしまいます。
子どもたち自身が「好き」「楽しい」と思っていることは、才能の芽です。その芽を育てるか、摘んでしまうかは周りの環境次第です。できるだけお子さんの「やってみたい」を尊重できる環境にしてあげてください。そのためには、まずお母さん自身が心の余裕を持つことが何よりも大切です。
小学生になると、子どもが親に、「○○なのはなんで?」という質問をしてくることがあります。こんなとき、大人があえて教えずに、一緒に調べることで、調べて見つける楽しさを養います。
そして、子どもが答えを見つけられたら、しっかり褒めて感心してあげることです。「お母さんそれ知らないから、〇〇ちゃん教えて」というのも、大変効果的な方法です。自分で考え、自分で調べ、自分で問題解決するという、自学道®の基本では、この「教えない」という、一見不親切に見えるやり方が重要になります。
魚がほしい人に、魚をあげるのではなく、魚の取り方や見つけ方を教える。これが本当に大切なことです。ついつい先回りして、色んなことに手を出してしまう方が、正直楽なことも多いですが、自主性を高めるためにぐっとこらえてみることも必要です。
自主性が高まると、子育てがもっと楽しくなります。自主性を高めるために苦労することもありますが、人は必ず成長する生き物です。お子さんの些細な成長にも目を向けられるようにしていきましょう。
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やすなが・よしみつ(自学道Labo代表、”成長し続ける親と子の場”自学道場塾長)
塾講師歴20年で延べ1800人以上の生徒を指導し、「自分から学ぶ子」の育て方についてセミナーや教育講演などを開催。プライベートでは一児のパパでもあり、岡山のパパ、ママ、子どもたちからは、親と子どもの間の中立な立場の存在として、相手に寄り添ったアドバイスと穏やかな人柄が支持されています。
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『自学道のすすめ』~自ら学ぶ力の育て方~④ 小学校高学年での「壁」とは
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