わからないことだらけの初めての子育て。パパ・ママも自ら考えて子育てしていく中で、子どもたちも自分で考えて成長していける-。そんな環境づくりができたら嬉しいですよね。
連載コラム「自学道のすすめ」では、自分で考えて行動する「自学力」の大切さを伝える自学道Labo代表の安永吉光さんに、自ら学ぶ力の育て方ついてシリーズでお伝えいただきます。
みなさんこんにちは、自学道Laboの安永です。
いよいよ夏休みが始まります。子どもたちにとっては楽しい夏休み、お母さんにとってはちょっと大変な夏休み…かもしれませんね(^_^;)
今回は、そんな夏休みだからこそ、お子さんに「自学力」をつけてもらうためにできることについてお話します。
まず自学道場では、学習には「3つのレベル」があります。これは学校の科目の勉強に限らず、すべての「学び」に当てはまるものです。
・学習をやらされているレベル=「奴隷の学習」
・言われて決められていることはわかるレベル=「ロボットの学習」
・自分で目標を持ち、問題を解決する方法を創造できるレベル=「賢者の学習」
と言います。
そして、このレベル別の特徴は次の図の通りです。
先述の通り、これは学校の勉強だけに当てはまるものではないので、「学校の算数の勉強は『奴隷の学習』だけど、大好きな昆虫の話になると『賢者の学習』だ」というようなこともたくさんあります。
つまり、お子さんに身につけてほしい能力について、「今、うちの子はどのレベルか」と見極めるために使ってみてください。
そして、この学習のレベルを上げていくほど「自学力」が高い子となります。ぜひお子さんが賢者の学習へレベルアップできるようにしてほしいと思います。
では、その“賢者”に育てていくためにはどうすればよいのでしょうか。そのために参考にしておいてほしい図があります。
上の図は、左のエリアが「親にとって悪い(好ましくない)こと」、右のエリアが「親にとって良い(好ましい)こと」となっています。そして、下のエリアが「子どもにとってつまらないこと」、上のエリアが「子どもにとって楽しいこと」です。
この図からもわかるように、親は「良い」「悪い」で判断し、子どもは「楽しい」「つまらない」で判断します。例えば、親が取り組んでほしいと感じる「本を読む」「勉強する」といったことは、子どもにとっては「つまらないからやりたくないこと」になりがちです。反対に子どもにとって楽しくてやりたい「ゲーム」「SNS」などは、親にとっては「好ましくない」「やめてほしいこと」の代表のような存在です。
夏休みのように時間がある場合は特に、子どもたちは暇な時間が増え、楽しいことをして暇をつぶそうとするものです。親御さんにとって好ましいことは、夏休みのように時間があるうちに、いろんなことに目を向けて取り組んでほしいということではないでしょうか。
そのためには、親が取り組んでほしいと感じているようなことを、「いかに楽しいものに見せるか」というきっかけ作りが一番大切です。
いろいろなことに取り組める時間を取りやすい夏休みは、「自学力」を高めるチャンスでもあります。ここでは、お子さんが楽しんで学ぶためのきっかけ作りのポイントをお伝えします。
きっかけ作りのポイントは、「体験させる」のではなく「体験へ誘う」ことです。誘ってみて、お子さん自身が「選ぶ」という感覚を持つことがとても重要になりますので、お子さんが乗ってこなくても気にする必要はありません。いろんなものを見せてみて、話をしてみましょう。
例えば、恐竜が好きな男の子に図書館で図鑑を借りてきて見せ、どんな時代にどんな恐竜がいたのか調べてみます。このとき、図鑑によっては子どもがあまり興味を示さないこともあります。できれば一緒に選びに行けるとなおよいでしょう。
そして、いろいろな恐竜に興味を持ってくるようになったら、関連するグッズを買ってみたり、博物館に連れて行ってみたりといった具合に、最初は身近にできるものから徐々に深めていくようにしてみてください。
「恐竜に興味を持って将来役に立つの?」と感じるお母さんもおられるかもしれませんが、題材が恐竜なだけであって、この調べていくプロセスそのものは「調べ学習」という立派な学習方法のひとつです。
一見遊びに見える中でも、学びにつながることはたくさんありますので、お子さんの興味の持てる分野で始めるのが何よりも大切です。
そんなきっかけ作りですが、注意点があります。
この3つの注意点は、お子さんの学びのレベルを上げるためにとても大切です。
特に「押し付けない」はついついやってしまいがちですが、親の方があきらめきれずに押し付けてしまうと、子どもの興味がなくなるだけでなく、それ以降の提案にも乗ってくれにくくなってしまいます。
大人の方が「元を取ろう」と欲を出さず、「下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる」くらいの気持ちで、余裕をもって誘うことを続けていってみてくださいね。
夏休みは子どもたちにとって、1年の中でもゆっくり時間が取れる貴重な期間です。勉強だけにとどまらず、旅行や遊び、親戚との触れ合いなど、一つでも多くの体験を積める夏にしてあげてくださいね。
やすなが・よしみつ(自学道Labo代表、”成長し続ける親と子の場”自学道場塾長)
塾講師歴20年で延べ1800人以上の生徒を指導し、「自分から学ぶ子」の育て方についてセミナーや教育講演などを開催。プライベートでは一児のパパでもあり、岡山のパパ、ママ、子どもたちからは、親と子どもの間の中立な立場の存在として、相手に寄り添ったアドバイスと穏やかな人柄が支持されています。
↓過去の記事はこちら
・『自学道のすすめ』~自ら学ぶ力の育て方~⑧ 自学道8つの心得とは/後編
・『自学道のすすめ』~自ら学ぶ力の育て方~⑦ 自学道8つの心得とは/前編
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