「葉野菜を食べてほしいのになかなか食べてくれない」という悩みをよく聞きます。また離乳食初期から赤ちゃん用の野菜ジュースを飲ませているお母さんに出会うことも多いです。では砂糖の入っていない100%野菜ジュースは、野菜の代わりになるのでしょうか?
例えばある赤ちゃん用野菜ジュースの原材料を見てみると…ブドウ、トマト、ニンジン、ホウレンソウなどと書かれています。
一番最初に書かれているのは果物なので、どの野菜よりも果物の果汁がたくさん含まれ飲みやすくなっていることがわかります。
一般的な市販の野菜ジュースは、野菜や果物をすり潰して食物繊維を取り除き、加熱されビタミンが失われた液体です。
そしてそこに残っているのは、野菜に含まれる甘み成分である「ショ糖」「果糖」「ブドウ糖」などの糖分です。
この野菜に含まれるショ糖、果糖、ブドウ糖も、お砂糖と同じくらいむし歯の原因になる甘味成分です。
野菜や果物を丸ごと食べるときは、ジュースとして飲むときと比べてしっかり噛むので唾液が出ますし、野菜や果物に含まれる食物繊維は歯をお掃除してくれたり満腹感を与えてくれたりします。
ジュースとして飲むときは噛むことなくお口に入れるため、むし歯から守ってくれる唾液が出てくれません。
また、ジュースになるときに食物繊維が失われるため、歯のお掃除もしてくれません。
結果として、ただ野菜や果物の糖分をたくさんとってしまうことになるのです。
野菜や果物をジュースとして飲むことは、丸ごと食べることに比べ歯にとってとても危険なことなのです!
種類にもよりますが、砂糖不使用の紙パックの野菜ジュースでも、1本に角砂糖約5個分くらい野菜や果物の糖分が入っています。
食物繊維や栄養が失われ糖分が残った野菜ジュースは、水分補給や野菜代わりではなくお楽しみのためのジュースだということがわかっていただけたでしょうか。
糖分の多い野菜ジュースを頻繁に飲むことは、むし歯の危険を高めるのでお勧めできません。
野菜ジュースで糖分をたくさんとることによって食事の量が減ったり、味覚の発達に悪影響を与えたりするリスクもあります。
小さなお子さんには特に気をつけてあげてください。
横道由記子
子どもの頃、むし歯だけでなく歯並びに悩み矯正治療を受けた経験から「予防歯科」という言葉に引かれ、地元岡山大歯学部で学び平成25年に和気歯科医院院長となる。むし歯の予防だけでなく噛み合わせにおいても、原因を見つけ治療と合わせて予防していく考え方を学び、医院では我が子の子育てで悩み学んだことを生かして小児歯科・小児矯正歯科を担当。地域の幼・保育園や公民館などの子育て支援事業のほか、企業主催の健康教室などで健康なお口と心身を育むサポートを積極的に行っている。
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