岡山県はかつて、不登校児童生徒数の調査において、不登校の出現率が全国ワーストになったことがあります。
現在も小学校児童の不登校出現率は、全国平均を上回っているそうです。
そこで、子どもが「学校に行きたくない」と言い始めたとき、または、身体の不調などで登校できない日が続いたとき、親として何ができるのか、さまざまな立場の方にお話を伺っていきます。
今回は、子どもの不登校に直面した2人のお母さんにお話をお伺いしました。子どもと向き合い一緒に悩む中で、どんな結論を出し、子どもと関わっていったのでしょう?
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Kさん(倉敷市在住・40代)
子どもの構成は長女(高3)、長男(高1)、次男(中2)
長男が小学三年生のころ、不登校が始まりました。本人はもともと小学校に入ったころから、行きづらさを感じていたようですが、学校には友達もいましたし、いじめなどの問題もありませんでした。5年生までは断続的に休みを繰り返し、学校と相談して放課後登校の形をとっていました。
最初の頃は私もどうして良いのかわからず、「とにかく行きなさい」と本人には強く言っていました。そんな中、市の相談センターでカウンセリングを受けた際に、担当いただいた心理士から「学校に行かなくても良いよ」と言われ、本当にびっくりしました。勉強の遅れも出るし、義務教育期間だし、なにより「学校は行かせるもの」と考えていたので、目から鱗が落ちるような衝撃だったのを覚えています。五年生の頃には、本人も私もその状況を受け入れることができ、精神的にも楽になりました。
息子が不登校中も、私は仕事を続けました。幸い、仕事環境に恵まれていたおかげもあり、勤務時間を調整したり、場合によっては仕事に同行させたりすることもできました。放課後登校や定期的なカウンセリングは続けていましたが、それ以外の日中も、家でただ過ごすだけではなく、他の大人との関わりがあったことが、結果的に良かったんだと思います。本人が同行した先で見たもの、聞いたことがきっかけとなり、高校はそれにちなんだ専門科を選択しました。
子どもには当たり前ですが幸せになってほしい、という想いがあります。そのためには、子どもがどのような状況になっても私自身が変わらないことが大切なんだと改めて感じています。必要以上に強くも当たらないし、気を遣って接することもしない。息子の不登校期間中に「できるだけ多くの経験をさせよう」と、家族で色々なところに出かけました。大変なときだったけど、旅先での家族が笑顔の写真が残っています。
困難があっても楽しみながら人生を生きること、それを息子とわかりあえたことで、親として私自身も成長できたと感じています。今では当時の経験を笑いながら話すこともでき、一番幸せです。
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Sさん(瀬戸内市在住・30代)
子どもの構成は長男(小5)、次男(小3)、長女(年中)
次男が小学3年生に進級して間もない4月の終わりごろ、朝になると「お腹が痛い」と言う日が増えてきました。かかりつけの内科に行っても異常はなく、本人も「学校に行きたい」と言っていたので、まさか不登校だとは思わず、体の不調が原因だと考えていました。
学校に行けない日数が増えてくると、「学校に行けない自分はダメな子なんだ」と自分を責め始めてしまい、何とかしなければと学校カウンセラーさんに相談して心療内科を受診しました。家にずっといるようになった息子が心配で、適応指導教室に相談したのが6月。そこで「学校にはいかなくても大丈夫だよ」と言ってもらえたことが、子どもにとって嬉しかったようです。1学期の後半は適応指導教室に通いました。
私が「学校に行きなさい」と言っていたことや、学校の先生からの言葉が逆にプレッシャーになっていたようで、反省しました。
7月に岡山コンベンションセンターで開催された「不登校教育フォーラム2018」に足を運んでみました。その会場で、同じ境遇のお母さんたちと情報交換することができ、とても勉強になりました。また、フォーラムの中で、不登校を克服した高校生が「親には普段通りに接してほしい」と話していました。その言葉がずっと心に残っています。
不登校の子どもに接するとき、夫婦間で意見が違ってくることも出てきます。子どもの前で口論はせず、子どもに「自分のせいで…」と思わせない工夫をしていきたいと考えています。子どもの前ではいつも通りのママでいられるよう、そして私自身が一人で抱え込んでしまわないよう、相談機関などをうまく利用しながら、子どもと向きあう時間を大切にしていきたいと思います。
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