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【お役立ち健康コラム③】毎日元気に過ごすために!『ママと子どものための大切な睡眠の話』

 

子どもはもちろん、ママもパパも家族みんな毎日元気に過ごしたいですよね。そのためにはちょっとした生活習慣の見直しや改善が必要になることも。そこで、フリーランス看護師の若林紗也子さんに、すぐに役立つ健康情報を取材。シリーズでお伝えします♪

 

今回は『ママと子どものための大切な睡眠の話』です。仕事に子育てに家事にと、ママの1日はあっという間に過ぎていきます。夜更かしをしたり、十分な睡眠が取れなかったり、眠っているのに疲れが取れないと感じている方はいませんか?最近はコロナ禍で生活リズムが乱れ、睡眠の質が低下しているとも言われています。睡眠不足は生活習慣病を招き、健康を脅かすことにつながります。睡眠は心身の疲労回復に欠かせないものですが、では具体的に何を意識したら良いのでしょうか。そこで、毎日質の良い睡眠を取るためのポイントについて聞きました。

*睡眠とは?
睡眠は脳と体の休息のためのものです。睡眠不足が続くと疲労の蓄積、仕事能率の低下、自律神経の変調など、さまざまな心身の病気を引き起こしてしまいます。人にとって眠りは大切で、人は眠らずに生きていくことはできません。


*レム睡眠とノンレム睡眠
「レム睡眠」「ノンレム睡眠」、この2つの言葉を聞いたことはありますか?睡眠周期はレム睡眠とノンレム睡眠によってつくられています。

レム睡眠体を休めるための睡眠。脳の活動は起きている状態に近く、記憶の整理などを行っていると考えられています。夢を見るのはこの時です。レム睡眠を妨害し続けると、新しいことを記憶するのが難しくなるため、夢は記憶情報を整理するために見るのではないかという説があります。

ノンレム睡眠脳を休めるための睡眠。体の筋肉は緩んでいませんが、寝息を立てて眠っているような状態です。脳が休んでいるので、自律神経の働きと代謝が落ちると言われます。

眠りはまず浅いノンレム睡眠から始まり、時間と共に眠りがだんだんと深くなり、深い睡眠状態がしばらく続きます。その後、再び浅い睡眠状態になり、レム睡眠へと移ります。1つの周期は約90分。目覚まし時計が鳴ってもなかなか起きることができないのは、ノンレム睡眠の時に起こされるからで、一方で自然にすっと目が覚めるのは、眠りの浅いレム睡眠、またはその前後のノンレム睡眠の時です。


*睡眠不足による子どもへの影響

子どもたちの睡眠不足はどんな影響を与えるのでしょうか?

●脳や身体の発育への悪影響
深いノンレム睡眠の時に成長ホルモンが盛んに分泌され、脳内の神経ネットワーク形成や細胞の修復・育成、骨・筋肉形成が行われています。幼児期の夜更かしで睡眠不足が続くと、脳や身体の発育に悪影響を及ぼしたり、睡眠時間が短くなるほど小児肥満の発症率が上昇するという研究結果もあります。

●セロトニンの低下
セロトニンは「幸せホルモン」と呼ばれている脳内の神経伝達物質の一つで、ドパミン・ノルアドレナリンを制御し、精神を安定させる働きをしています。夜更かしや睡眠不足、ストレスでセロトニンの分泌が減少すると、ドパミン・ノルアドレナリンのコントロールが不安定になりバランスを崩すことで、攻撃性が高まったり、不安やうつ、パニック症(パニック障害)などの精神疾患を引き起こすと言われています。

このように睡眠時間の短縮や生体リズムの変調は、身体の発育だけでなく、認知や精神症状にも悪影響を及ぼし、日常生活に支障を来すと考えられています。お子さんの様子が落ち着かない、イライラしているなどの症状がある時には睡眠不足が関係しているかもしれません。


*成長期の子どもに必要な睡眠時間
成長期に必要な睡眠時間は、幼児で10時間、小学生で9時間、中高生で8時間と示されています。財団法人日本小児保健協会が実施した調査によると、「夜10時以降に就寝する子ども」の割合は、1歳半・2歳・3歳で半数を超えており、子どもの生活時間の夜型化の実態が明らかになっています。また、小・中・高校と学年が進むにつれ、就床時刻が遅くなると睡眠時間が少なくなり、「睡眠不足を感じている児童生徒」の割合が増加しているという結果もあります。

現代社会が24時間化するとともに子どもたちも大人と同様に生活は夜型化し、睡眠時間が減少する傾向にあります。低年齢の子どもの夜型化は、大人の生活習慣が影響を与えているので、大人の生活習慣から見直すことも大切です。


*睡眠についてのQ&A

―どうして寝る前のスマホはいけないの?
スマホ、タブレットなどが放つ光によって脳が「昼間だ」と錯覚し、メラトニンの分泌量が抑制されます。メラトニンは人を睡眠に誘うホルモンなので、脳が覚醒し、睡眠障害を引き起こしやすくなってしまうのです。睡眠2時間前はスマホを見ないこと、夜間は画面の明るさを調節するなど、工夫してみると良いですね。

―睡眠時間は何時間くらい取ったら良い?
おすすめの睡眠時間は7時間前後とされています。寝過ぎても頭は働きません。

―寝だめはできる?
「平日に寝不足でも、週末に寝だめをすれば大丈夫」と思っていませんか?「寝だめ」は意味がないと言われています。何時間も寝坊したり、昼寝をすると生活リズムが乱れ、生体リズムがズレてしまうんです。そのまま休日明けを迎えると、気持ちと体は時差ボケを抱えたまま、仕事モードに切り替えられない状態となります。休日も平日と同じリズムで過ごすことが大切です。昼食後の20分程度の昼寝は非常に頭がクリアになり、発想力や効率も上がると言われています。ただし30分以上寝てしまうと逆効果です。


*すっきり眠って起きるために大切なこと


寝る時間と起きる時間を一定にする
就寝と起床の時刻が不規則だと、体温と睡眠のリズムにズレが生じます。生活はリズムです。リズムが整ってくると、自然に覚醒できるようになるので、何時に寝て何時に起きるかのこだわりがなくなります。リズムを整えることは早寝早起きを意識することよりも大切とされます。

夕方に適度な運動をする
眠気は体温が下がる時に訪れます。眠りに入る数時間前に軽く体を動かし、体温を上げておくことで体温が自然に下がってきます。

夕食は2~3時間前に終わらせ
夜遅くに食べてそのまま眠ると、消化管が活動状態で眠ることになるため胃腸が休まらず、負担がかかります。とくに脂肪分の多いものは、消化に時間がかかって胃腸がもたれるので、眠りの質も当然低下します。夜食が必要な時には、消化の良い炭水化物を小腹が軽く満たされる程度だけ食べるようにしましょう。

入浴で就寝前のリラックスを
ややぬるめの38~40度くらいの湯に10~20分ほどゆっくり浸かると、体の芯まで温まり体温が少し上昇し、風呂から出た後に体温が下がっていきます。すると一息ついた頃に眠りやすいタイミングがやって来ます。

眠くなるまで布団に入らない
ストレスや心配事を抱えたまま寝ようとすると眠れないことはありませんか?布団に入って30分以内に眠ることができていればOK。すぐに眠りにつくことが理想ですが、不安を抱えたままだとそうもいきません。睡眠には“不快な記憶を消す働き”と“ストレスへの対処能力を高める働き”があります。つまり、ストレスに打ち勝つためには良質な睡眠が必要なのです。どうしても眠れない時は、眠くなるまでは布団に入らないことです。心配事や悩み事を書き出してみるのも良いかもしれません。書くことでモヤモヤが自分の外側に出るので気持ちの整理につながります。その後、横になった状態で腹式呼吸を繰り返してみるとリラックスして眠りやすくなります。


睡眠を削ることは、健康に影響を及ぼします。特に子どもの睡眠を考える上で、大人の生活時間、働き方、睡眠習慣は切り離して考えることはできません。眠りは生活のリズム。毎日元気に過ごすためにも生活習慣を見直してみてはいかがでしょうか。

若林紗也子さん

1991年岡山生まれ。看護師として急性期病棟、小児科を経てフリーランス看護師に転身。現在は病院、訪問看護、保育園などで勤務。小児科勤務時代に子育てに不安や孤独を感じるママが多いことに気付き、子ども、ママも含めた家族支援の必要性を感じ胎内記憶教育や子育て数秘を学び、ママや家族のカウンセリングも実施。また、‟そよ風のように そっと包み込む 優しさを”をモットーにSNSなどで思いを発信しています。

ブログ:https://ameblo.jp/mah358alo/

Instagram:https://www.instagram.com/say385ako/

 

【参考文献・サイト

・厚生労働省ホームページ

e-ヘルスネット[情報提供]/睡眠と生活習慣病との深い関係

https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-02-008.html

e-ヘルスネット[情報提供]/睡眠不足や睡眠障害、子どもへの大きな影響

https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-02-003.html

・亀井雄一・岩垂喜貴「子どもの睡眠」(保健医療科学2012 Vol.61 No.1 p.11ー17)

https://www.niph.go.jp/journal/data/61-1/201261010003.pdf

・岩田アリチカ著「なぜ一流の人はみな『眠り』にこだわるのか?」

・NHKスペシャル取材班著「睡眠負債“ちょっと寝不足”が命を縮める」

・鈴木洋通著「よくわかる 最新からだの基本としくみ-人体のメカニズムを図解する!-」 

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